『ダンスウィズミー』の三吉彩花、極限のプレッシャーを乗り越えてつかんだものとは?

インタビュー

『ダンスウィズミー』の三吉彩花、極限のプレッシャーを乗り越えてつかんだものとは?

「モデルと女優で、二面性を見せていきたい」

本作の撮影秘話を語った三吉彩花
本作の撮影秘話を語った三吉彩花

7歳でモデルとしてのキャリアをスタートさせた三吉が、女優業のおもしろさに目覚めたのは、中島哲也監督作『告白』(10)の現場だったそうだ。彼女は端役で、生徒の1人を演じた。「学園ものだったので、生徒役の子たちが大勢いました。湊かなえさんの原作を中島監督でと、いま考えるとそうそうたるキャストやスタッフの方々に囲まれた現場でした。その時はお芝居に対して、楽しさよりも難しさや恥ずかしさのほうが勝っていました。自分の芝居をどうしたら上手くやれるのかもわからなくて。冒頭で牛乳を飲むシーンがありますが、あのシーンは中島監督が1人ずつ生徒役の子を呼び出して、演出をつけてくれたんです」。

それは、松たか子演じる森口教諭が、生徒たちにHIV患者の血液入りの牛乳を飲ませるという緊迫感に満ちたシーンだ。「生徒全員、1人ずつ撮ったので、誰がどんな動きをしているのかまったくわからないわけです。ああ、いま、自分の想像力を試されているなと感じ、そのとき初めて、自分のオリジナリティというか、自分の役がどうふうに印象に残せるかと考えました。そこで、役を追求していったらこんなにも楽しいのかと気づかせてもらったんです」。

彼女の女優としてのスタンスは「“三吉彩花”を消して、役を活かす」というものだ。「台本を読んでバックボーンを想像しながら、自分の日常生活も役と一緒に生きていけたらと。もちろん作品によっても違うし、いつも役にどっぷり浸かるわけではないのですが、そういうふうにできたらいいなと思っています。例えばテレビドラマ『エンジェルハート』はアクションが多かったのですが、常に五感が研ぎ澄まされている役だったので、外に出る時は、街中の音を意識したり、テーブルの上にあるものを瞬時に取れるような瞬発力を鍛えたりしていました。普段から役と向き合い、なるべく監督が思う役の理想像に近づけたいとは思っています」。

モデル業と女優業という二本柱については「いま、すごくバランスが取れているから、どちらかにしぼる気はまったくないので、どちらも並行して、二面性を見せていきたいという気持ちです」としながら「ただ、そのなかで、年々自分がやりたいことが明確になってきている」という。

『ダンスウィズミー』は8月16日(金)より全国公開
『ダンスウィズミー』は8月16日(金)より全国公開[c]2019「ダンスウィズミー」製作委員会

本作で得た手応えについて聞くと「私はモデルとして初めて芸能界に入り、そこから女優業を含め15年くらいやってきましたが、やっとこの作品で、自分が思い描くビジョンへのスタートラインに立てたと感じています」と、目を輝かせる。

「今回、初めてのコメディミュージカルということで、チャレンジできたという達成感が大きかったですし、女優として自分をどう見せていくかについても学ぶことが多かったです。ミュージカルも、いつかできたらいいなと思っていた分野ですが、今回でより身近になったので、舞台でもやってみたいと思いました。本作は静香の成長物語ではありますが、私自身も一緒に成長させてもらったという実感があります。今後、女優としては、自分が演じた役柄や作品が、観てくれた人にどういう影響力を与えるのかを考えていきたいですし、大きく言っちゃうと自分にしかできないと思えるような役に巡り会いたいです。

また、海外へ出たいという気持ちが以前よりも一層強くなっているので、もっと人脈も広げていきたいし、海外では自己紹介もなるべくして自分を売り込んでいけるようになりたいです。そういう意味では改めて初心に返り、基本的なことをより大事にしていきたいと思いました。女優に限らず、モデルとしてももっともっと経験を積んでいきたいです」。

取材・文/山崎 伸子

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