第32回東京国際映画祭のラインナップ発表!山田洋次監督「男はつらいよ」は「50年かけて作った映画」と感無量
第32回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が9月26日に六本木ヒルズアカデミーヒルズで開催され、本年度のオープニング作品となる『男はつらいよ お帰り 寅さん』の山田洋次監督、コンペティション部門に選出された『ばるぼら』の手塚眞監督、『喜劇 愛妻物語』の足立紳監督、今年より新設されるジャパニーズ・アニメーション部門上映作品『プロメア』の中島かずき(脚本)が登壇。第1作の公開から50年という節目の年を迎える「男はつらいよ」シリーズの第50作を放つ山田監督が、「50年かけて作った映画という感じがしている。長生きしてよかった」と感無量の面持ちを見せた。
東京国際映画祭は世界中から優れた映画が集まる、アジア最大級の映画の祭典。今年のコンペ部門には115の国と地域から1804本がエントリーされ、14作品が正式出品。審査委員長はチャン・ツィイーが務める。
97年に公開された『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』以来、22年ぶりのシリーズ最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』がオープニング作品に選出された。山田監督は「大変、光栄」と感謝し、「出来上がった映画を観て、50年かけて作ったんだなということがわかった。長い期間をかけた映画はいろいろとありますが、50年というのはなかったんじゃないか」としみじみと語る。
どのような形で寅さんがスクリーンに登場するのかにも注目が集まるが、「『CGで寅さんを作るのか?』とおっしゃる方もいましたが、そういうことはしない」と明かし、寅さん=渥美清がいたとしたら「『山田さん、よくやったね』とニヤニヤ笑うでしょう」と予想してニッコリ。「寅さんを観たことがない方にとっても、楽しくて不思議な色合いを持った作品になる」とアピールしていた。
またコンペティション部門に選出された『ばるぼら』は、手塚治虫の問題作を実子である手塚眞監督が映画化するもの。手塚監督は「『ばるぼら』は、手塚漫画のなかでは異色作と言われているけれど、私から見ると非常に手塚治虫らしい作品で、同時に手塚眞らしい作品でもある」と分析し、「手塚治虫のストーリー、感性と、息子である私の感性の融合」と自身のキャリアにおいても重要な作品であると語る。主演には稲垣吾郎と二階堂ふみが抜てきされたが、手塚監督は「体を張って、演じていただいた」と2人の役者魂を大絶賛。稲垣について、「一番好きなタイプの俳優。なにも言わなくても以心伝心で演技をしてくれる。いま日本で一番、好きな俳優」と愛情を傾けていた。
売れない脚本家と、夫に悪態をつき続ける恐妻が繰り広げる物語を描いた『喜劇 愛妻物語』では、濱田岳と水川あさみが夫婦役を熱演。足立監督は、「夫婦というのは、赤の他人としては最もみっともないところ、しょうもないところを見せ合う関係。そういった夫婦関係が描ければと思った」と作品への想いを吐露。プライベートでは窪田正孝との結婚を発表した水川について、「この映画のような奥さんにはならないでほしいですが、間違ってもならないと思います(笑)。楽しい奥様になるだろうなと思います」と話し、会場の笑いを誘っていた。
第32回東京国際映画祭は、10月28日(月)から11月5日(火)まで開催。六本木ヒルズや東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場などで開催される。クロージング作品として発表されていた『アイリッシュマン』は、特別招待作品として、TOHOシネマズ六本木ヒルズの4K対応スクリーンで上映することになった。