『アーティスト』オスカー俳優が“嘘つきの英雄”に!?コメディアンの本領発揮!<写真11点>
モノクロ&サイレント映画『アーティスト』(11)で、アカデミー賞主演男優賞を獲得した仏俳優ジャン・デュジャルダンが、コメディ初挑戦のメラニー・ロランと共演する、1809年のブルゴーニュを舞台にした痛快コメディ『英雄は嘘がお好き』(公開中)。本作で、人騒がせな嘘つき男を演じるデュジャルダンが、コメディアンとしての本領を発揮している!
もともと本国パリで、90年代後半に5人組コメディグループを結成し、テレビ出演するようになったデュジャルダン。個人でもスタンダップコメディアンとして国内で知名度を上げ、主演作のスパイ・パロディ映画『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』(06)で、セザール賞の主演男優賞にもノミネートされている。『英雄は嘘がお好き』は、そんな彼が“低身長のイケメン”に扮した異色のラブコメ『おとなの恋の測り方』(16)でも監督を務めたロラン・ティラール監督が、デュジャルダンのユーモアに魅了され、彼のために脚本を当て書きしたという力作だ。
本作は、嘘の英雄譚で人々から称賛を集めるヌヴィル大尉(デュジャルダン)と、街でたった一人彼の嘘を知る貴族の才女エリザベット(ロラン)のハチャメチャな恋愛騒動が描かれる。
戦地から帰らない婚約者・ヌヴィル大尉の便りを待ちわびる妹のために、姉のエリザベットが、差出人をヌヴィル大尉と偽り、妹へ手紙を届け始める。歓喜する妹に気を良くしたエリザベットは、次々と大尉の武勇伝をでっち上げ、大活躍の末に戦死したことにしてしまう。しかし3年後、エリザベットは街でみすぼらしく変わり果てた姿のヌヴィル大尉と偶然遭遇。彼女は自分の嘘を隠すため彼を追い払おうとするが、逆に大尉はエリザベットの英雄話を利用して、一儲けしようと企むのだった…。
デュジャルダンは、豪華絢爛な赤い騎兵服とピンと跳ね上がった口ひげで紳士を装う“嘘つき男”ヌヴィル大尉になりきっている。ひょんなことから共犯関係になったエリザベットから白い眼を向けられても、まったく気にも留めず、戦地で自分の身に起きた“作り話”を朗々と語り、社交界の聴衆を魅了していく。
「何10頭もの象が川で流されるのを見た」とデマを吹聴したり、ありもしない宝石鉱山の儲け話で詐欺を働いたりと、大尉の嘘はエスカレート。自分の英雄譚で悦に入った表情を浮かべ、人を食ったような飄々とした言動で嘘を誤魔化そうとする大尉が、なんとも滑稽!だが、色気と穏やかな雰囲気を持つデュジャルダンが演じると、不思議と大尉が憎めない人に見えてくるのだ。
ロランは初共演だった彼について「現場にはいつもすばらしい笑いがあふれていて、最高の仲間と撮影できたと思うわ!」と大絶賛。そんなロランとの息もピッタリで、コメディアンとしての魅力を爆発させるデュジャルダンの姿を、ぜひスクリーンで堪能してほしい!
文/トライワークス