見れば見るほど混乱する!?“エッシャー”の奇想天外なトリックアートたち<写真28点>
昨年から今年にかけて、生誕120周年記念の「ミラクル エッシャー展」が日本全国を巡回し、多くの来場者を魅了したオランダ人版画家・画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャー。いわゆる“だまし絵”で広く知られる彼の波乱に満ちた人生に迫るドキュメンタリー『エッシャー 視覚の魔術師』が12月14日より公開中だ。
水が昇っているかのように見える「滝」や、いくつもの階段によりつながった多面的な空間が描かれた「相対性」などの、錯覚を利用した立体的なトリックアートを数多く残したエッシャー。その名前を知らなくとも、誰もが彼の絵を一度は見たことがあるだろう。
映画では、彼の日記や書簡といった資料から、二人の息子や彼の作品の収集家の証言までを手掛かりに、幼少期から晩年に至るまでの彼の創作の足跡を振り返っていく。また本作では3Dアニメーションを用いることで、エッシャーがどのようにして漠然としたアイデアを視覚化していったのか?思考のプロセスや創造の根源も明らかにしていく。そのため彼の数多くの作品を劇中でも体感、楽しむことができるのだ。
例えば、ギャラリーである男が観ている絵画がその空間と合体するという歪んだ作品や、二人の人間を帯状にしてつなげた作品、二次元と一次元が1つの絵で混ざり合った作品など、バリエーションも豊か。じっくり見れば見るほど訳がわからなくなくなってしまうものばかりだ。
また自分自身を「芸術家ではなく数学者だ」と表現したエッシャーだが、そんな彼の特徴とも言える一つが、モチーフをいくつも並べた幾何学的な模様の作品たち。さらにそこから一歩進んでモチーフが別のものに変化したり、別のモチーフが浮かび上がってきたり、立体的になったり…と魔法のような作品たちには、魅了されること間違いなしだ。
人間が持つ想像力の可能性の大きさを感じさせるエッシャーの魔術に、ぜひスクリーンで酔いしれてみてほしい。
文/トライワークス