【今週の☆☆☆】ついに完成した『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』やベストセラーの出版秘話を描く極上ミステリーなど週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、1月24日(金)から今週末の公開作品を中心にピックアップ。構想から30年…念願の映画化となった『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』や、大ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの出版秘話に基づくミステリー、70年代デヴィッド・ボウイの名曲が彩る話題のAmazonオリジナル映画など、バラエティあふれる作品ばかり!
これぞ“イマジネーションの魔術師”ギリアムの独壇場!『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(1月24日公開)
支離滅裂、とまでは言わないが、ストレートな物語に慣れている人はハチャメチャに展開していく語り口に戸惑うだろう。スペインへロケにやってきたCMディレクターのトビー(アダム・ドライバー)が、学生時代に自主映画を撮った村を再訪する。再会したのは、かつてドン・キホーテ役に抜擢した村の老人(ジョナサン・プライス)。老人は、いまでは自分がドン・キホーテだと信じ込んでいて、トビーを従者にして冒険の旅に出るという。撮影の仕事はそっちのけで、シュールな珍道中に連れ回されるトビーだが…。しだいに現実だか妄想だかわからなくなってくる摩訶不思議な世界観は、イマジネーションの魔術師テリー・ギリアムの独壇場。そしてデタラメに見えていた要素を上手くまとめ上げるのではなく、さらにその先へと観客を駆り立てる。ふるい落とされないように食らいつくだけの価値がある、天才監督ギリアム79歳の魂が詰まった怪作。(映画ライター・村山章)
“真実”が明らかになった瞬間「やられた!!」と、うなってしまう『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(1月24日公開)
「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズ第四弾「インフェルノ」出版時の、驚きの実話をもとにしたミステリー。ベストセラー完結編の世界同時発売を目論む出版社が、9カ国語9人の翻訳者を招集。外界と完全遮断し、監視つきで翻訳をさせ始める。だが、10ページ分がネットに流出、脅迫メールが届き――。尋問する銭ゲバ社長vs9人の翻訳者。誰もがどこか怪しく、キャラがほどよく浮き出てくる、群像ドラマとしてのバランスが上手い。そこに隠れ絡みついていた“真実”が明らかになった瞬間、「やられた!!」と走馬灯のように、それまでの出来事が脳裏を駆け巡るはず。本作を生んだのは、監督レジス・ロワンサルをはじめとする、小粋でお洒落なフレンチ・ラブコメディ『タイピスト!』(12)チーム。オルガ・キュレリンコほか、各国代表の俳優陣も魅力!(映画ライター・折田千鶴子)
“まさか”のクライマックスとその先の結末に心揺さぶられる『トゥループ・ゼロ~夜空に恋したガールスカウト~』(Amazon Prime Videoで独占配信中)
1977年、NASAは宇宙探査機ボイジャーに人類からのメッセージを記録したレコードを乗せて打ち上げた。Amazonオリジナル映画『トゥループ・ゼロ~夜空に恋したガールスカウト~』は、宇宙のどこかにいるかもしれない知的生命体に向けたこの“ボイジャーのゴールデンレコード”の実話にインスパイアされたキッズ・コメディだ。宇宙に興味津々のアメリカ南部の少女が、レコードにメッセージを吹き込む権利を獲得するため、ガールスカウトの大会で優勝を目指して大奮闘。負け犬ぞろいの5人組がハチャメチャなドジやバカ騒ぎを繰り返しながら無謀な目標に挑んでいく姿が、絶え間なく笑いと驚きを呼び、まさかのクライマックスとその先の結末には心揺さぶられずにいられない。『gifted/ギフテッド』(17)のマッケナ・グレイスを中心とする子役たちの爆裂アンサンブルも圧巻の一作!(映画ライター・高橋諭治)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス