“香港のタランティーノ”が手がけた過激すぎる18禁バイオレンス映画が遂に日本に
上映時間の3分の2をバイオレンスシーンが占め、そのあまりの残虐描写ゆえ、上映中に体調を悪くする観客が続出し、海外の上映では汚物袋まで配られたという香港発の問題作『ドリーム・ホーム』が5月28日より日本公開された。
惨劇の舞台に選ばれたのは、香港の湾岸部にそびえる超高級マンションのビクトリアNo.1。ある晩、このマンションに忍び込んだ銀行勤めのOLチェンは、手始めに警備員を絞殺する。経済的に恵まれない家庭に育った彼女にとって、ビクトリアNo.1は強烈な憧憬の対象だったが、その気持ちはいつしか憎悪へと転じ、彼女を凶行へと駆り立て、胎児を含む12人が惨殺されるという悲劇の幕が開かれる。
冒頭で語ったように、情事の途中の男女に襲いかかったり、真空圧縮袋で窒息死させようとしたりと、猟奇殺人の描写がとにかくすごいのだが、実は香港社会が抱える地価高騰の問題が物語の下地にある。
監督を務めたのは“香港のタランティーノ”と呼ばれるパン・ホーチョンだ。日本では本作が劇場初公開作となるが、世界では独特の映像センスと現代社会を風刺した作風で知られており、その手腕は今作でも存分に発揮されている。
また、凄惨な描写がこれでもかと繰り広げられる本作は、当然のごとくR18+指定だ。今年日本公開され、性や暴力がストレートに描かれている18禁作品として話題を呼んだ『悪魔を見た』『ビー・デビル』など、近年は「バイオレンス映画なら韓国」のイメージが定着しているが、過激さゆえに劇場公開不許可となったアンソニー・ウォン主演の『八仙飯店之人肉饅頭』(93)など、かつて実録犯罪映画といえば香港がメッカだった。そんな当時の勢いを想起させるエネルギッシュな内容からも、香港映画界の今後が楽しみになるはずだ。
圧倒的な暴力描写におぼれるか、それともその奥の社会問題まで読み込むのか。だが、その前にあなたは最後まで目を覆わずにこの惨劇を見届けることができるだろうか?【トライワークス】