怖すぎて“禁書”となった児童文学のモンスターをデル・トロが実写化したら…<写真21点>
「怖すぎて子どもたちにトラウマを与えてしまう…」。そんな理由から、全米の学校図書館に置くことを禁じられたベストセラー児童文学をご存知だろうか?そんな禁断の書を映画化した『スケアリーストーリーズ 怖い本』が、2月28日(金)より公開される。
1981年アルビン・シュワルツが児童書として発表すると、実際の事件を彷彿させるような残虐描写に親や教師から苦情が殺到した「スケアリーストーリーズ 怖い本」シリーズ。本著をもとに原案・製作として映画化したのが、10代の頃に自身もこの本から多大なる影響を受けたというギレルモ・デル・トロだ。特に彼が魅了されていたのが、スケッチ画を所有するほど心をわし掴みにされたという、強烈でおどろおどろしいスティーブン・ガンメルの挿絵の数々。
『パンズ・ラビリンス』(06)ではペイルマンやパン、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)では半魚人など、美しくも奇怪な名モンスターをこれまでも生み出してきたデル・トロ。本作でも『シェイプ・オブ・ウォーター』のマイク・ヒルやノーマン・カブレラといった業界トップの特殊造形チームが彼のもとに再集結し、ガンメルの絵に忠実に造り上げたこだわりのクリーチャーたちが次々とスクリーンに登場する。
ハロウィンの夜に町の外れの幽霊屋敷に忍び込んだ子どもたち。その地下で1冊の本を見つけると、そこには噂通りの怖い話の数々がつづられていた。作家志望のステラはこっそりその本を持ち帰るが、すると翌日から仲間が一人、また一人と消えていってしまう。ステラは本を開くと、消えた仲間たちを主人公にした新たな物語がそこにはひとりでにつづられており…。
子どもたちが、彼らの最も恐れているものに襲われるという本作には、様々なクリーチャーが登場し、観る者を恐怖のどん底へと突き落としていく。例えば、原作で一番人気の物語の一つで、映画化のインスピレーション元にもなっているというカカシのハロルドは、膨れ上がったような醜い顔や無愛想な表情など挿絵の物恐ろしさを見事に再現。巨体をノソノソと揺らしながら、主人公たちに迫ってくる青白い顔のペール・レディは、ニタリと笑ったような大きな口と小粒な目、ウェッティな長い髪などのデザインはもちろん、その質感などもとにかく不気味で、一目見ただけでトラウマになってしまいそうな異様な雰囲気を放っている。
また曲芸師のトロイ・ジェームスによる、関節が外れて折れ曲がったようなウネウネした動きや肋骨が突き出たようなボディの造形がグロテスクなジャングリーマンや、失った自分の足指を求めて彷徨う白骨死体が動き出したかのような細身のクリーチャーまで、地獄絵図と呼べるような衝撃的ルックスのオンパレード!これらはCGを極力使わずに特殊メイクなどのプラクティカル・エフェクトを用いて造り出されており、その結果、どこかリアリティのある恐怖が観る者を襲ってくるのだ。
恐怖の核であり、作品の主役とも呼ぶべき奇怪千万な造形のクリーチャーたち。デル・トロのこだわりを実体化させた見事な仕事の裏側を覗くことができる書籍「スケアリーストーリーズ 怖い本 ギレルモ・デル・トロ&アンドレ・ウーヴレダルの世界」も発売中。とにかくおぞましすぎるので、観る人は覚悟して…!
文/トライワークス
発売中
価格:900円+税
発売・発行元:岩崎書店
https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b487810.html
■「スケアリーストーリーズ 怖い本 ギレルモ・デル・トロ&アンドレ・ウーヴレダルの世界」
発売中(2000部限定)
価格:3,800円+税
発売元:DU BOOKS
発行元:ディスクユニオン