【今週の☆☆☆】窪田正孝主演の危険なラブストーリー『初恋』や“伝説的”戦争映画が鮮やかに甦る『地獄の黙示録』など週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、2月28日(金)から今週末の公開作品をピックアップ。三池崇史監督が初挑戦した恋愛映画や、全米で図書館に置くことを禁じられた児童書が原作のホラー、カンヌ映画祭でパルムドールを獲得した戦争映画を監督自ら再編集したファイナル・カット版など、バラエティあふれる作品ばかり!
余命わずかの孤独なプロボクサーが裏社会へ…『初恋』(2月28日公開)
コンプライアンスを意識した行儀のいい作品ばかりが量産され、危険な匂いを味わえなくなった最近の日本映画。そんなモワっとしたムードに、鬼才・三池崇史が『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(99)や『クローズZERO』(07)に通じるムチャな勢いとアンモラルな世界観で風穴を空けてくれた!!余命宣告された才能のある若手のプロボクサーが新宿歌舞伎町で少女を追う悪徳警官を反射的に殴り倒し、彼女と一緒にヤクザや警察から追われることになる冒頭から、ハイテンションの怒涛の勢いでラストまで一気に突き進む。窪田正孝が主人公のボクサーをのびのび演じ、悪徳警官役の大森南朋、ヤクザ役の染谷将太らがほかでは観ることのできないクセのある極悪キャラをねっとりと怪演!中でも、撃たれて血みどろになっても凄まじい形相で走り、牙をむくヤクザの女に扮したベッキーの狂い咲きっぷりには誰もが息をのむはずだ。それでいて、三池監督らしいユーモアも随所に散りばめられたタイトルに偽りのない鮮やかな仕上がり。常識を無視したバイオレンス・アクション・ラブストーリーになっていて大興奮!大満足すること間違いなし!(映画ライター・イソガイマサト)
よりクリアな映像で戦場の狂気を追体験できる!『地獄の黙示録 ファイナル・カット』(2月28日公開)
巨匠フランシス・フォード・コッポラが手掛けた不朽の名作『地獄の黙示録』(79)。本作は、ベトナム戦争の後期を舞台に、カンボジアの奥地のジャングルで軍規を無視して自らの王国を築いている元軍人のカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺を命じられたウィラード大尉(マーティン・シーン)が、哨戒艇でヌン川を遡上しながら狂気に満ちたベトナムの戦場を目撃していく様を描く。『地獄の黙示録』は、これまで1979年のオリジナル劇場公開版、新たな映像を盛り込んだ2001年発表の特別完全版が制作されている。「ファイナル・カット」は、この2バージョンとは異なる形で新たに再編集され、撮影時のオリジナルネガフィルムを使用し、IMAX DMR技術を駆使したデジタルリマスター版として誕生。細部まで繊細に再現されるクリアな映像と迫力のサウンドを得る形で生まれ変わっている。その結果、ベトナムの戦場を遡上する“地獄巡り”的なストーリーへの没入感が大きくアップ。ウィラードが目にする、誰が敵なのかわからない過酷な戦場にいるがために、狂気に満ちた状況に陥っているアメリカ兵たちの特殊な空気感が、よりリアルに体感できるような仕上がりとなっている。ぜひ、IMAXの最高の上映環境で、戦争映画の名作に浸ってほしい。(映画ライター・石井誠)
仲間たちの不可解な失踪…呪いを断つため少女たちが立ち上がる『スケアリーストーリーズ 怖い本』(2月28日公開)
全米で大ベストセラーを記録した児童向けホラー小説を、鬼才ギレルモ・デル・トロの製作で映像化。記されたことが現実となる呪いの本を手にしてしまったティーンの少女。友人たちが次々と魔物に襲われる中、彼女は呪いを断つことができるのか!?子ども向けの原作とはいえ、恐怖描写は抜かりない。子どもたちが犠牲になる怪事件と、それに立ち向かう主人公たちの冒険の物語は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)にも似た味わい。闇夜や単色のライトを活かしたビジュアルは秀逸で恐怖をあおる。“青白い女”をはじめとする不気味なクリーチャーのデザインも、デル・トロ印ならではの作り込みで、大いにゾッとさせられる。トラウマになりそうな恐怖を体感したいなら、とにかく必見!(映画ライター・有馬楽)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス