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ゴジラ、ガメラ、ウルトラマン…三池敏夫特撮監督が語る、『Fukushima 50』リアリティの追求と特撮の未来

インタビュー

ゴジラ、ガメラ、ウルトラマン…三池敏夫特撮監督が語る、『Fukushima 50』リアリティの追求と特撮の未来

「日本の特撮技術を、未来を作る若者へつなげていきたい」

「VFXはビジュアル的なインパクトも重視しました」と三池は手応えをのぞかせた
「VFXはビジュアル的なインパクトも重視しました」と三池は手応えをのぞかせた[c]2020『Fukushima 50』製作委員会

また「津波や爆発などの大掛かりなシーンは、お客さんもVFXだとわかると思いますが、実はそれ以外にも色々と貢献しているんです」と、大規模なセットが作られた原子炉建屋の外観の上方部をVFXで補ったり、実際は秋に行われた撮影シーンを3月に見せるために加工したり、寒さを表すための白い吐息を足したことなど、細部にVFX技術が生かされたことを明かす。「こういった地味な部分に長年のキャリアを活かせたかなと思います」と手応えをのぞかせた三池は「2時間のなかで場面があまり変わらないということもあって、VFXはビジュアル的なインパクトも重視しました」と、リアリティを追求すると同時に劇映画としての見せ方にも注力したことを教えてくれた。

現在は特撮文化を保存するための活動を行なっているという。「未来ある若者へつなげていきたい」
現在は特撮文化を保存するための活動を行なっているという。「未来ある若者へつなげていきたい」

本作では昔ながらの特撮技術と、現代のVFX技術の両方をいいとこ取りができたと語る三池だが、「最近では映像作りのほとんどがCGを中心としたVFX技術を用いています。でも少なくとも僕らが現役の間は、日本にはミニチュアというすばらしい特撮技術があったんだと伝えていきたいです」と、特撮にかける強い想いを吐露。「CGもとてつもない細かい作業ではあるんですが、アナログ特撮のような意外性は希薄です。CG製作は個人の技量に頼る分業に近いからです。ミニチュア特撮の場合、爆破シーンなどはその場にいる全員が緊張して一発勝負に臨み、上手くいったら拍手して盛り上がるということもありましたから」と過去を振り返る。

「いまは『シン・ゴジラ』でご一緒した庵野秀明さん、樋口真嗣さん、尾上克郎さんらと一緒に、特撮を保存するための活動をしています」と、特撮に欠かせないミニチュアや造形物、資料などを永久保存できる保管庫を日本の特撮の父である円谷英二の故郷である福島県須賀川市に作るために奔走しているという。「もちろん保管するだけでなく現場がないと技術は伝わっていかない。未来を作る若者へつなげていきたい」と、昔ながらの特撮技術で新たな作品作りをしていくことも視野に入れているそうだ。「なんとかして、細々でも歴史ある日本の特撮技術を将来に残していきたいと思っています」と、三池は熱く語った。

取材・文/久保田 和馬


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