『ロック わんこの島』撮影中の深夜に佐藤隆太の部屋を訪れたのは?
2000年の三宅島大噴火で離ればなれになった犬と飼い主一家との絆を描いた『ロック わんこの島』(7月23日公開)が完成。6月9日というロックの日に、出演の佐藤隆太、麻生久美子、土師野隆之介、倍賞美津子、中江功監督が記者会見を行った。会見では、三宅島での撮影裏話のほか、劇中でロックを演じたゴールデン・レトリバーが登場し、キャストたちと和やかにイベントを展開した。
三宅島で民宿を営む野山一家の息子・芯(土師野隆之介)は、生まれたばかりの子犬ロックを大切に育てる。だが、2000年8月。火山が爆発し、芯たちは東京へ避難することに。その最中、ロックが行方不明となってしまう。いつの日か再び島でロックと暮らすことを願う家族は、噴火災害動物救護センターでロックと奇跡の再会を願う。
本作は、フジテレビの番組内のコーナーで、2007年に紹介された実話を基に製作された。臼井裕詞プロデューサーは、「2010年が噴火から10年の節目でした。三宅島の人々の思いを風化させないために製作したいと思いましたが、先日の東日本大震災を受け、これこそが今まさに家族の絆が希望の力になる映画だと思い、今年の夏に公開したいと思いました」と挨拶。情熱にあふれた父親・松男を演じた佐藤隆太は、「静かに、力強く前を向いて生きる家族を描ききれたなと思います。僕らが撮影していたのは、東日本大震災の前ですが、この映画を見ていただければ、それぞれの心の中でつながるものがあるはず。そんな皆さんの力に少しでもなれたら嬉しいです」と、映画に込めた思いを語った。
母親・貴子を演じた麻生久美子は、「家族の絆と三宅島への愛にあふれた素晴らしい作品になっていると思います。何気ないシーンでも温かい空気間に包まれていて、私にとってこうなりたいという理想の形でした。家族がいるだけでいろんなことを頑張れる、いてくれるだけで力になる。大切な存在だと思います」と、家族の大切さについて丁寧に話した。
少年・芯を演じた土師野隆之介は、「皆さんが支えてくれたおかげで映画ができました。是非、家族みんなで見に来てください。自然が大好きなので、自然がいっぱいの三宅島がすぐに大好きになりました。イタチがいたけど、怖くなかったです」としっかりと挨拶。祖母の房子役を演じた倍賞美津子は、「三宅島に行くために経由する八丈島の天気が気になって、ほかの作品の撮影で山形に行った時も、八丈島の空港の様子が心配で、今でもその癖が抜けないんです(笑)」と、三宅島に対する気持ちを明かした。
撮影中は天候の影響などで待ち時間が多かったようで、三宅島でのエピソードを尋ねらた佐藤は、「色々ありましたが、三宅島は夜になると本当に静かになるんですが、午前1時すぎ、寝ようと思ったら僕のホテルの部屋のドアをノックする音が聞こえた。びっくりしましたが、恐る恐るドアを開けてみると、ビールを持った倍賞さんが『飲もうか?』って(笑)。緊張しましたが、お酒をご一緒して、貴重な体験をさせていただきました。翌日『昨日はありがとうございました』と言ったら、倍賞さんが『私、あんまり覚えてないのよね』と言われて驚きでした」と、一夜の出来事を暴露した。倍賞は「麻生さんの部屋にも行ったんだけど、この子、寝てたみたいで起きないから(笑)。この場を借りて謝りますわ(笑)」とコメント。同席できなかった麻生は、「悔やまれます」と残念そうな表情を浮かべた。
監督は、数多くの月9ドラマを手がけた中江功。「東日本大震災で被害にあわれた方、そして噴火から11年が経ちましたが、三宅島の方々に改めてお見舞いを申し上げます。伝えたいことは、最初から仕上げの作業をするまで、家族をテーマに作りました。落ち込んでいる人も、明るい人も見てほしいです」と映画をアピールした。
会見後半、舞台上の車からロックが登場した。慣れないステージ上と報道陣に囲まれたロックは緊張からか、車からなかなか降りてこず、ステージに現れた後も、倍賞や土師野に甘えて落ち着かない様子。撮影中についてのロックについて、佐藤は「もちろんワンちゃんなので、おりこうさんで頑張ってくれた」と撮影を振り返った。興奮気味のロックに、キャストたちが「ロック、ロック」と声をかけながら、和やかなムードで会見は終了。写真撮影時のロックは、各ポジションごとにカメラ目線を送り、俳優犬としてのプライドを見せていた。
三宅島の美しい風景の中で、家族の絆や犬との愛を描いた『ロック わんこの島』。日本中が家族の大切さを感じている今だからこそ、映画のメッセージが心に響くはず。家族一緒に感動作の公開を待ちわびよう。【取材・文/鈴木菜保美】