志村けんの訃報を受け、『キネマの神様』山田洋次監督がコメントを発表
「8時だョ!全員集合」や「ドリフ大爆笑」など、多くのバラエティ番組で活躍した日本を代表するコメディアンの志村けんが、3月29日午後11時10分、新型コロナウイルスによる肺炎のため、都内の病院で死去。70歳だった。
50年2月20日に東京都東村山市で生まれた志村は、付き人を経て74年にザ・ドリフターズの正式メンバーとなり、「全員集合」終了後も数多くの冠番組が放送。「バカ殿様」や「変なおじさん」などのキャラクターでお茶の間の人気を博した。
70年代に複数本公開されたザ・ドリフターズが主演する喜劇映画シリーズに出演して以後、俳優としての活動を一切していなかった志村だが、99年に高倉健さんから直々のオファーを受けて『鉄道員 ぽっぽや』に出演。その後『ロラックスおじさんの秘密の種』(12)や『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(14)で声優を務めた。
そして今年1月には、松竹映画100周年を記念して製作される『キネマの神様』で、菅田将輝とダブル主演を果たすことが決定。しかし、クランクインを控えた今月20日に肺炎と診断され、都内の病院に入院した後、23日に新型コロナウイルスの陽性が判明。26日に出演を辞退したことが所属事務所から発表されていた。
同作でメガホンをとる山田洋次監督は、志村の訃報を受けて「『キネマの神様』の出演辞退でがっかりしていたぼくにとって、言葉を失うほどの衝撃です。志村けんさんは日本の喜劇の世界の宝でした。その存在がどれほど貴重だったかを、彼が少しでも自覚して健康に留意してくれていたら、と。彼の早死が口惜しく、残念で残念で仕方ありません」とコメントしている。
直木賞候補にもなった人気作家、原田マハの同名小説を原作にした『キネマの神様』は、無類のギャンブル好きで妻や家族に見放されたダメ親父のゴウを主人公に、若き日に映画の撮影所で働きながら夢を追い求めていたゴウが信じていた“映画の神様”が時を超えて奇跡をもたらしていくという感動の物語。ゴウ役で初の映画主演を務める予定だった志村は「緊張感と不安を感じつつも、撮影に入るのをとても楽しみにしています」と語っていた。
また、突然の訃報に際して、CS放送ファミリー劇場では志村けんを偲ぶ追悼特集が放送されることが決定。4月4日(土)に「志村けんのバカ殿様 桜満開スペシャル」を、5月2日(土)には「ドリフ大爆笑 総集編」「Shimura XYZ」「変なおじさん」「志村流」「志村屋です。」「志村けんのバカ殿様」が放送される他、レギュラー放送でも番組を追加して放送されるとのこと。
これまで日本中に多くの笑いと元気を届けてくれた志村さんの功績に敬意と追悼の意、そして感謝を表すと共に、心よりご冥福をお祈りいたします。
文/久保田 和馬