命をつなぐ犠牲愛に感涙! 知らなかったミズダコの切ない人生
食べるとおいしいミズダコの人生には、実はとても切ないドラマがあった。話題のネイチャードキュメンタリー『ライフ いのちをつなぐ物語』(公開中)では、ミズダコの命を託す犠牲愛が描かれている。それはいったいどういうものなのか?
本作は、『ディープ・ブルー』(04)や『アース』(08)のBBC Earth Filmsが、撮影日数3000日、総製作費35億円をかけ、世界18ヶ国でロケを敢行した野心作だ。ザトウクジラ、アフリカゾウ、チーターなど、野生の王者たちの迫力はすごいし、イチゴヤドクガエルやハキリアリなど小さい動物や昆虫のユニークさも面白い。そんな動物たちに劣ることなく、心を揺さぶるのがミズダコである。ミズダコは一生に一度だけ産卵し、子を産み落とした後は半年間、飲まず食わずの状態でつきっきりで卵を守るのだ。そして、卵が孵化したのを見届け、役目を終えたように、そこで一生を終える。何という究極の犠牲愛なのだ。
監督のマイケル・ガントンは、ミズダコのエピソードについてこう語る。「実は他のストーリーとは毛色が違うミズダコのシーンを、どうするかと頭を抱えました。自分や子供を守るために、サバイバルな行動に出る動物たちの中で、ミズタコはただ卵を守り、死んでしまうから。でも、それは次の命を残すための死であり、まさにこの映画で伝えたかった“ライフ”というテーマそのものでした。我々が次世代をいかにサポートできるのか、ということなんです。それで、編集者が最後の最後にミズダコのエピソードを入れたことで、とてもエモーショナルな映画になったと思います」。
確かに、日常食べているミズダコにあんなドラマがあったとは。でも、『ライフ いのちをつなぐ物語』の動物たちのエピソードは全て意外性と感動に満ちている。是非とも大スクリーンで世界の野生動物たちに会ってみて。【取材・文/山崎伸子】