鉄道ファン必見! 故・森田芳光監督の遺作に散りばめられた電車の名前、全部わかる?
昨年12月に突然この世を去った森田芳光監督。『家族ゲーム』(83)や『失楽園』(97)など、多くの話題作を世に送り出したことで知られる彼の訃報は、映画界に衝撃を与えた。いよいよ3月24日(土)より公開される映画『僕達急行 A列車で行こう』は、そんな森田監督の遺作となってしまった作品だ。
遺作とは言っても、その言葉から連想される重苦しさは少しもない。むしろ本作は、鉄道オタクたちの一風変わった仲間意識や恋心を描いた、素朴でほのぼのとしたコメディ作品だ。ナイーブでマイペースな鉄道好きの青年役に松山ケンイチと瑛太を起用し、ふたりを取り巻く女性役として貫地谷しほりや村川絵梨らが共演するなど、キャスト陣も華やか。彼らの不器用なやり取りに腹を抱えながらも、気付けばほっと和んでしまうような作品と仕上がっている。
本作には鉄道ファンなら思わず反応してしまうに違いない、ある工夫が施されている。登場人物たちの名前のなかに、実在する新幹線や特急列車の愛称が引用されているのだ。たとえば、松山ケンイチ演じる小町圭は秋田新幹線「こまち」から、貫地谷しほり演じる相馬あずさは、中央本線の特急列車「あずさ」から、といった具合である。他にも、羽越本線の特急列車「いなほ」や、国鉄時代に長崎と熊本を結んでいたディーゼル急行列車「筑後」など、鉄道に詳しくない人にはあまりなじみのない列車の名前も引用されているので、自信のある方は全て探し出してみるのも面白いだろう。
劇中に登場する20路線80モデルに及ぶ電車や、都内と九州の駅を中心としたロケーションも含め、鉄道ファンの心を刺激すること間違いなしの本作。生前に「鉄道会社の社長になりたかった」と語るなど、自身も鉄道ファンだった森田監督が端々にまで込めた鉄道愛を是非とも劇場で感じ取ってもらいたい。【トライワークス】