神木隆之介が語るこだわり「人と同じでなくても全然構わない」
朝井リョウの第22回小説すばる新人賞受賞小説の映画化『桐島、部活やめるってよ』(8月11日公開)で、主演を務めた神木隆之介。本作は、神木にとって高校生活最後の出演作となった。彼が演じたのは、高校の映画部に所属する目立たない高校生・前田涼也役。神木にインタビューし、大後寿々花ら同世代の俳優陣たちとの共演エピソードや、撮影裏話を聞いた。
バレー部のキャプテンで、人気者の桐島が突然部活を辞めたことで、各クラブやクラスの人間関係が入り乱れていく。本作では、高校生の学校生活が、リアルに活写されている。神木に映画の感想を尋ねると、「完成した作品を見て、会話のテンポや雰囲気が本当に学校っぽいなと思いました」と感心する。「それぞれの暗黙のルール、境界線みたいなものを超えないように接していくとか、女子の関係性についてもそう。あと、高校の頃って唐突に『あれ?今、何してるんだろう?』とか、自分を見つめ直す時間が必ず来るんです。進んでいるようで進んでいない気持ちの葛藤にすごく共感しました」。
演じた前田涼也との共通点は、こだわりの部分だ。「人に何を言われようと、『僕はこれです』って主張するところです。僕も昔からそうで、幼稚園の頃から、みんながAのお菓子を選んでも、僕はBが好きならBを選んでいました。ランドセルの色もそうで、僕たちの頃はみんな黒か赤でしたが、僕は茶色だったんです。友達に、『何で茶色なの?』って聞かれても、『好きだから』って答えていました。人と同じでなくても全然構わない。そういうこだわりは昔からありました。きっと前田も、実は内に秘めた情熱や勇気、根性が一番ある人じゃないかなって思います」。
共に幼少期から高い評価を得ていた、『遠くの空に消えた』(07)でも共演した大後寿々花とは、本作でも息の合ったやりとりを見せている。「髪は伸びたなって思いましたが、変わってはなかったですね。『大きくなったね』なんて言わなかったですよ(笑)。お芝居をする上では、お互いによく知っているから、ある程度、大後さんが出す芝居の雰囲気みたいなものを感じ取れて、安心して切り返すことができたかもしれない。僕のつまらない話でも笑ってくれるので、いつも感謝しながら接しています」。
本作で紡がれる青春を、神木はこう解釈する。「青春って、夢や希望もありつつ、実は現実的だったりするんです。素敵な恋や友情、殴り合いなども青春だとは思うけど、実は恋や友達関係ってすごく複雑だったりもするし。その中で新鮮な気持ちになったり、悩むことがあって、それこそが青春なのかなと思います。その思いが詰まった本作は、今、学生の方も、大人の方も、どの年代の方が見てくださっても、新しいことに気付いたり、懐かしい気持ちになったりできる素晴らしい映画です!」。
高校を卒業し、19歳になった今、今後の展望について聞いてみた。「しっかりしなくてはという思いは強くなりました。もう学生ではなくて、夢に向かっていくわけだから。今、19歳で来年20歳なので、しっかりした土台のある大人になりたいです。19歳は、お芝居やお仕事とか以前に、人柄やメンタル面の強さ、土台を作っておかないと、評価なんて出ないと思うんです。いろんなことに挑戦し、今後も積み重ねていけるようになりたいです」。【取材・文/山崎伸子】