『ツナグ』の松坂桃李、会いたい人は宮本武蔵。大野いとは大塩平八郎!?
松坂桃李主演のヒューマンファンタジー映画『ツナグ』(10月6日公開)の完成披露記者会見が、9月11日に東京国際フォーラムで開催。主演の松坂、樹木希林、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、遠藤憲一、八千草薫、平川雄一朗監督が登壇。松坂は「映画を見終わった後、親に電話しました。この映画を見てから、『ありがとう』というのを何気なく言えるようになりました」と挨拶した。
唯一、登壇した全てのキャストと共演した松坂は、「財産です」と感慨深い表情で語った。「それぞれの方とお芝居を共有できました。今後、10年、20年後の役者人生を振り返った時、この作品があったからこそ、今の僕が生かされていると思えるくらい、濃密な時間を過ごせたし、誇りに思っています」。
松坂と最も長時間共演した樹木は、彼について「そばにいる人をほめるのは、照れてできません」と言った後、平川監督について、「監督が気合いを入れたのは、3人の綺麗な女優さん。粘って、粘ってすごかった」とチクリ。すると平川監督は、「桐谷さんを撮っている時、スタジオの中で、イビキが聞こえてきて。誰だ!?と思ったら希林さんでした」と反撃。樹木は「それは良いの」と流しながら、「監督は、個人的な趣味で粘ったけど、結果的には素晴らしかった」と絶賛した。
松坂が演じるのは、死んだ人に一度だけ会わせてくれるという“ツナグ”の見習いの青年・渋谷歩美役。映画の設定に合わせて、「たった一人、死んだ人に会えるなら」という質問が振られたゲスト陣。松坂は「僕は宮本武蔵です。いずれ自分がやってみたいから、彼がどういう雰囲気の人なのかをひと目見てみたい」と答えた。一番の珍回答をしたのは大野。「歴史上の人物で一番会いたいのは、大塩平八郎さん。貧しいのに、一揆を起こしたんです。思いやりのある人が大好きです」と、天然キャラで笑いをとった。
メガホンを取ったのは『ROOKIES 卒業』(09)の平川雄一朗監督だ。「企画からもうすぐ二年経ちますが、そのくらいのスピードでできる映画はなかなかなくて。途中で震災があり、生と死を身近に感じながらやっていましたが、現場では、みんな心のどこかに、一生懸命やらなければいけないという思いがあった作品です」。
原作は、第32回吉川英治文学新人賞に輝いた辻村深月の同名小説。死んでしまった人と、生きている人間の深い絆が描かれる『ツナグ』。それぞれが織りなす味わい深いアンサンブルドラマはハンカチ必携で臨みたい。【取材・文/山崎伸子】