『バチェロレッテ』監督が頑張る独身女性に「不安は明るく笑い飛ばしちゃえ!」

インタビュー

『バチェロレッテ』監督が頑張る独身女性に「不安は明るく笑い飛ばしちゃえ!」

自分よりブスな女友達が、自分の先を越して結婚する。そうなれば、独身女性にとっては、心穏やかではいられない。周囲、特に男性の前では平静を装いながらも、笑顔はひきつり、「なんでこの娘が!?」と悔しさでいっぱいのはず。そんな女子の本音が詰まった映画『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』が2月22日(金)より公開される。

登場するのは、美人で頭も良いのに、なぜか結婚できない完璧主義者のレーガン、悪ぶっていながらも、元彼を思い続ける乙女なジェナ、男性とは一夜だけの関係というパターンを繰り返すケイティの3人だ。嫉妬心メラメラで、酔いつぶれては暴走する。そんなダメダメな彼女たちの本音に、思わずうなずいてしまう女性も多いはずだ。女性監督のレスリー・ヘッドランドを直撃すると、「私はレーガンに共感するのよ。アメリカでも草食男子が多いけど、日本でもそうなの!?日米、同じことで女性が悩んでいるなんて、すごくエネルギーをもらう話ね!」と目を輝かせた。

続けて「アメリカの女性たちも、教育水準が高くて、キャリア上での野心もあって、性的な意欲もバリバリ。『それなのに、なんで私は結婚できないの?』って、神経質な状態になっている人も多いわ。もちろん、映画ではそんな女性たちを誇張して、キャラクター化しているんだけれど、私はアーティストとして真実を追求したいし、それをオープンに話していきたいと思っているの」と、映画に込めた思いを教えてくれた。

友達の結婚式前夜にハプニングが続出。そんななか、ダメダメ女子が真実に気付いていく様子がコミカルに描き出される。「友達のウエディングドレスを引き裂いてしまうという設定を思いついた時、メタファーとして、すごく面白いんじゃないかと思ったの。理想の結婚のために努力しているつもりの女性たちが、その象徴であるウエディングドレスをうっかりと汚すようなことをしてしまうんですもの!結果として、彼女たちはドレスを何とか元通りにしようと奔走するうちに、少しずつ自分らしさを発見していくの」。

このメタファーとなるシーンの撮影も、印象深いものになったと語る。「ものすごいエネルギーに満ちた撮影だったわ。レーガン役のキルスティン・ダンストが、ドレスを破ってしまうシーンの撮影が終わった時に、私のところへやって来て、こう言ったの。『映画に出ていて、時にとても深遠な思いがするシーンってあるのよ。すごい手応えを感じるといったようなね。まさに、今のシーンでは特別な手応えがあったわ!』って。私もその言葉から力をもらったし、3人の女優たちにとっても、特別な絆を分かち合った瞬間だったと思う」。

自身も撮影を楽しんだというように、キルスティン・ダンストがこれまでとは違ったイメージの役柄を生き生きと演じている。「キルスティンは、『チアーズ!』(01)など、コメディ色の強い作品でブレイクしたにもかかわらず、近年はシリアスな作品が続いていたのね。だから、『レーガン役をキルスティンにお願いしたい』って言った時には、周りのスタッフたちも、『キルスティンに!?』って意外に思う人が多かった。でも私は、どの作品を見ても、彼女は役になりきってしまう素晴らしい女優だと思っていて。コミカルな面も含めて、このレーガンという役を演じ切ってもらえると信頼していたわ。すごく嬉しかったのが、キルスティンに会った時に、『私、このレーガンという役が大好き!』と言ってくれたこと。ちょっと憎たらしいような役を楽しんで演じてくれたわ。アドリブもガンガン入れてくれて、完成したものを見ても、一番笑えるのがキルスティンのアドリブだったりするのよ(笑)」。

監督が特に思い入れがあると話すのが、「他人のことは気にするな。自分は自分」というセリフだ。「学生時代に、付き合っていた彼氏とデートに行ったんだけど、私ったら飲み過ぎて、大変な醜態をさらしちゃったの(笑)。その時はものすごく落ち込んで、親友に『私って、出来損ないなのかな』って相談したの。そうしたら彼女は、『今、このレストランで、自分の人生は良いものだって確信している人なんて、一人もいやしないわよ。私はどんなことをしても、あなたを愛している。だから、他人の目なんてどうでも良いじゃない』って。『ああ、そうだよな』って思ったし、その後の人生でも、そう言ってくれる女友達が何人もいたのよ」。

ざっくばらんに本音をさらけ出し、パワーみなぎるヘッドランド監督。まさに映画そのもののような人柄が印象的だが、パワーの源を聞くと、「ちょっとくさいかもしれないけれど、感謝の心が私のエネルギーとなっているわ。この映画を撮り上げるうえでも、女友達を含め、たくさんの人たちから愛情を受けて、支えてもらった」と充実の表情を見せてくれた。さらに「誰もが、“自分”という存在とは、いつまでも付き合っていかなければいけない。だから、他人の目を気にするよりも、自分自身がハッピーにならなきゃいけないのよ。達成感やゴールを目指すよりも、自分自身をあるがままに受け入れて、自分を好きになることが何よりも大切。あとね、人間って、一番フラストレーションを感じていることや、不安に思っていることを、明るく笑い飛ばすことで成長できるもの。この映画は、まさにそういう映画なのよ」と、力強いメッセージを贈ってくれた。

毒舌トークに笑い、最後には女の友情に胸を熱くする『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』。全米女子を魅了した本音満載のストーリーに、元気をもらってみてはいかがだろうか。【取材・文/成田おり枝】

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