香港のタランティーノが見せる日本製AVへの愛とは?

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香港のタランティーノが見せる日本製AVへの愛とは?

“香港のタランティーノ”の異名を取り、全編の3分の2をバイオレンスシーンが占める過激な内容が話題を呼んだ『ドリーム・ホーム』(11)で鮮烈な日本デビューを飾ったパン・ホーチョン監督。彼が2006年に制作し、第18回東京国際映画祭でも上映された映画『AV』のDVDが4月19日(金)に発売される。

何とも露骨なタイトルの本作だが、その名のとおり、これはアダルトビデオにまつわる青春群像劇だ。これといった夢も目標もなく、ダラダラと学生生活を送っていた駄目男な主人公たちは、友人が映画撮影にかこつけて好きな女の子とキスをしたと知り、色めき立つ。そして「撮影と称してAV女優を呼べば、エッチなことができるかも!」と、フェイクのAV撮影企画によって日本から本物のAV女優を呼び出すことを思いつく。行き場のないエネルギーを空回りさせる学生たちの姿を、緩やかな笑いと共に描いた作風に加え、当時、人気AV女優だった天宮まなみが本人役で出演したこともあって、日本でも注目を集めてた作品だ。

そんな本作には、日本人男性ならきっと一度は見たことのある演出やセリフも散りばめられているなど、日本のAVへオマージュを捧げたとも思えるシーンが散見されて面白い。香港には公に認められたAVというものが存在しないそうだが、そのような場所からすれば、日本のポルノ業界がある種の理想郷のように映ってしまうのかもしれない。意外な形で、日本のAVの影響力と、日本のポルノ業界の特殊性を思い知らされる作品となっているので、その点にも注目してほしい。【トライワークス】

■DVD『AV』
発売日:4月19日(金)
価格:3990円
発売元:ユナイテッドエンタテインメント
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