「空飛ぶ広報室」との共通項も!有川浩ワールド全開の『図書館戦争』に見る“萌え”の鉄則
4月14日より放送がスタートした、新垣結衣主演のTBS系新ドラマ「空飛ぶ広報室」。原作者・有川浩の直木賞候補にもなった同作のドラマ化で、改めて自衛隊に興味を抱いた人も多いのではないだろうか? そんな方にこそ、有川浩ワールドの“萌え”のポイントをお伝えしたい。それは“ミリタリー”と“ベタ甘”の合わせ技! その魅力が遺憾なく発揮されている作品が、「空飛ぶ広報室」と同じ野木亜紀子が脚本を務めている映画『図書館戦争』(4月27日公開)なのだ。
読書好きには言わずもがなだが、ベストセラー作家・有川浩は、デビュー作「塩の街 wish on my precious」(04)ら一連のシリーズに代表されるように、自衛隊を題材にした作品が多いのが特徴。その中でも、『図書館戦争』は有川浩の名を知らしめた代表作であり、ミリタリー要素が重要なファクターとなっている。本作が描かれるのは、国家によるメディア検閲が正当化されてしまっているパラレルワールドの日本。ゆえに自衛隊ではなく、本の自由を守るために戦う自衛組織“図書隊”がその舞台となる。図書隊員たちの、戦いを前に揺れ動く葛藤、仲間との強い絆、そして押し殺せない恋情……その熱いコトといったら! これらは、戦うことを使命として覚悟を決め、ストイックな環境下にいる特殊組織の隊員だからこそ、際立ってくる感情描写といえるだろう。
そして注目すべきが、榮倉奈々が扮する新米隊員・笠原郁と、岡田准一演じる郁の上官・堂上篤のカップリングの妙だ。「あんの、クソ教官! 性格悪くておまけにチビ」と陰口を叩く郁の背後で、じっと睨んでいる堂上……という劇中シーンがあるが、まだ恋に落ちていない2人の関係性を表す印象的なシーンだ。軽率な行動を繰り返す郁を怒鳴りつつも、キツイ言葉とは裏腹に、彼女を放っておけない堂上の言動はツンデレの極致! 原作同様、女子ならキュンキュンしてしまうこと間違いなしだ。
「あいつ(笠原郁)が無茶をするたびたまらなくなる」
これは、郁への複雑な胸中を思わず吐露してしまう堂上のセリフ。有川浩作品は、よく少女漫画のように“ベタ甘”と称されることがあるが、こうした“女子心”を掴むセリフの応酬が要所要所に散りばめられているせいではないだろうか? そして、命を懸けた戦争と隣り合わせだからこそ、その会話は逆に説得力を増してゆくのだ。事実、戦闘シーンが多数を占める実写版『図書館戦争』は、戦争アクションとしても見応えあり。ド迫力のミリタリー描写の狭間で見え隠れする“ベタ甘”な有川浩ワールドに、どっぷり浸ってみてはいかがだろうか。【トライワークス】