ジョブズと半沢直樹から読み解く、伝説に残る仕事術とは?
最高視聴率42.2%を叩き出した最終回の余韻が、いまだ冷め切らない日曜劇場「半沢直樹」(TBS系)。“あまちゃんロス症候群”ならぬ“半沢直樹ロス症候群”でお悩みの方がいたら、11月1日(金)公開の映画『スティーブ・ジョブズ』で描かれる改革者ジョブズの仕事術に注目してみてほしい。
本作では、自分のアイデアが世界を変えると信じ、目的のためなら冷酷な決断も厭わないジョブズの半生が映し出されていく。大胆かつ狡猾に、組織との軋轢を抱えながらも常識を覆す改革者。それは、半沢直樹の人物像にも通じるのではないだろうか。
ジョブズと半沢の共通する点として挙げるならば、何と言っても圧倒的な【人心掌握術】。瞬時の判断と時間をかけた熟考、その頭の使い分けが実に巧みなため、常に対話をリードし、自然と相手を頷かせてしまう。さらに、話し方も簡潔で的を得ているため、例えそれがハッタリであろうとも相手を説得できてしまう。ジョブズで言えば商品のプレゼンテーション、半沢直樹においては金融庁検査や取締役会で見せたあの話術だろう。
さらに2人の共通点といえるものは、その並外れた【実行力】だ。彼らは優秀なプランナーであると同時に、課せられた任務を遂行するプレイヤーでもある。必要とあらば自ら積極的に行動し、確かな成果を引き出していく。ジョブズは新機種のコンピューター開発を任された際、優秀なスタッフを他チームから引き入れたり、リスクを顧みずあらゆること実践に移す。一方、半沢は上司だろうと関係なく、不穏な動きがあれば証拠をつかむまで奔走する。結果を出すまで最善を尽くす彼らのこうした行動は、周囲のモチベーションをもあげ、自然と好機を引き寄せていくのだ。
そして、これらの根底にあるのが、揺るぎのない信念といえるだろう。どんな逆境にも屈せず、「違う」と思ったことには徹底的に反抗する意志の強さ。その礎となっているものは、自らを信じ抜く力に他ならない。しかしその一方で、自分を信じるがゆえに思わぬ事態を招いてしまうのもまた事実。ジョブズは、考えを曲げないあまりスタンドプレーに走り、アップル社を追われ、父のように慕っていた同僚からも裏切られてしまう。こうした傍若無人な振る舞いは、組織のトップやリーダーならいざ知らず、仕事仲間としてなら相当やっかいモノ扱いされてしまうだろう。逆に、心から信頼する同期や同僚のためならば、自らの犠牲もかえりみない半沢直樹とは、ここが相反する点かもしれない。
これらは、スティーブ・ジョブズや半沢直樹に限らず、仕事で名を成す人間の共通点ともいえる。自らのビジョンや理想に向き合い、ストイックに信念を貫いていく彼らの姿から、学び取れることも少なくないのではないだろうか。ある種のビジネス指南書としても、押さえておきたい作品だ。【Movie Walker】