高畑勲監督、宮崎駿監督の引退は「変わる可能性もある」
『風立ちぬ』(公開中)の宮崎駿監督と共に、日本のアニメーションの礎を築いた高畑勲監督が、『ホーホケキョとなりの山田くん』(99)以来14年ぶりに手掛けた『かぐや姫の物語』(11月23日公開)が、遂に完成。本作の完成報告会見が11月7日にグランドプリンスホテル新高輪で開催され、高畑勲監督や朝倉あきら豪華声優陣が登壇。高畑監督は「ここにいる方々や優秀なスタッフに心から感謝したい。あとは、どうお金を回収するか」と挨拶。また、宮崎駿監督の引退について「変わる可能性もあると思います。長いつきあいだし、そういうことがあっても全然驚かないです」と語った。
会見に登壇したのは、朝倉あき、高良健吾、宮本信子、田畑智子、宇崎竜童、朝丘雪路、上川隆也の声優陣に加え、共同脚本の坂口理子、主題歌「いのちの記憶」を歌った二階堂和美、日本テレビの大久保好男社長と、高畑監督の11名。
高畑監督は、「表現が新しいだけじゃなく、意味があってやったこと。それが達成できたってことは、図々しく言えば、これからの日本のアニメーションにとって、一歩進めたという感じです。大変、満足を覚えました」と手応えを語った。
かぐや姫の育ての父・翁役の声を当てた地井武男は、2012年6月に他界し、本作が遺作となった。プレスコで共演した、かぐや姫役の朝倉は、「わずかな間でも、一緒にお芝居できて、何て幸せ者なんだろうとかみしめました。私に対しても全力で向かってくださり、その姿に感動し、引っ張られ、かぐや姫を演じることができたかなと」と、感慨深い表情を見せた。地井とは、旧知の間柄で、映画『放課後』(73)では夫婦役で共演したこともある宮本は「何十年ぶりに会っても、お互いに変わらないねと、同窓生みたいな感じでしたが、これが最後でした。月で見守っていたんじゃないでしょうか」と、思いを馳せた。
1988年の『火垂るの墓』『となりのトトロ』同時公開から25年、2013年は、高畑勲・宮崎駿の両監督の作品が同年公開する“ジブリイヤー”となった。『風立ちぬ』が大ヒット中の今、『かぐや姫の物語』にも熱い視線が向けられている。【取材・文/山崎伸子】