盤石のジブリブランドが首位独走!『かぐや姫の物語』好調スタートの理由とは?

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盤石のジブリブランドが首位独走!『かぐや姫の物語』好調スタートの理由とは?

巨匠・高畑勲監督が14年ぶりに手掛けた最新作『かぐや姫の物語』(公開中)が11月23日に公開され、大方の予想通り首位スタートを飾った。興 収100億円を突破している盟友・宮崎駿監督作『風立ちぬ』とほぼ同等のスクリーン数である456スクリーンで封切られており、動員22万2822人、興収2億8425万2550円(興行通信社調べ)を記録。スタジオジブリのブランド力を改めて証明する結果となった。

本作は、公開前から8年の製作期間と50億円もの製作費を投じたと報じられており、その圧倒的な映像クオリティに注目が集まっていた。とはいえ、過去のジブリ作品にも類を見ない独特の水彩画のようなタッチが、果たして一般層にどれだけ受け入れられるのか…当初は不安の声も聞こえていた。だが、フタを開けてみれば、中高年の夫婦連れからファミリー層、若年層まで、文字通り老若男女が劇場を埋めていた様子。改めて『かぐや姫の物語』がこの幅広い層の支持を集めた理由とはいったい何なのだろうか?

挙げられるのは、先陣を切った『風立ちぬ』の強力な後押し。ジブリ史上初めて1年に2本の長編映画が連続して公開(2本立てでの公開を除く) されたということもあって、メディア露出が集中した影響も大きいだろう。加えて、約35年わたる映画監督生活に終止符を打った宮崎駿の引退表明などの話題性もあり、特に下半期はスタジオジブリに注目が集まり続けていた印象がある。この話題性の持続も、ランキングトップという結果に影響したのではないだろうか。

ただし正直なところ、首位発進とはいえ初週の数字は爆発的なヒットとは言い難い。近年のジブリ作品の初週と比較しても、前述の『風立ちぬ』『借りぐらしのアリエッティ』(10)が共に約9億円超え、『コクリコ坂から』(11)は土日祝の3日間で約5億円超をマークしている。だが、巨匠・高畑勲監督の創り出すアニメーションの秀逸さは折り紙つき。回を重ねるごとに良質なクチコミが更なる観客を呼び込み、ジブリ作品という日本アニメーションの“王道”が挑む新たな映像表現を、自分の目で確かめてみたいという更なる欲求が募っていく可能性は高い。また、日本人には馴染みの深い「竹取物語」を題材にしていることから、正月に向けて、息の長い興行になることが予想されている。本作がどこまで数字を伸ばせるのか、今後の動きに注目だ。【トライワークス】

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