浅野忠信と菊地凛子には悪役が似合う!?「僕らは日本の芸能界でもアウトサイダー」
キアヌ・リーブスを主演に迎え、日本の「忠臣蔵」に大胆なアレンジを加えた3Dアクション大作『47RONIN』(12月6日公開)。真田広之、柴咲コウ、赤西仁ら日本からも豪華なキャストが集まった本作で、RONINたちに立ちはだかる敵役を怪演しているのが、菊地凛子と浅野忠信だ。監督のカール・リンシュも加わった3人が、『47RONIN』での“悪”に対する意気込みと撮影秘話を語った。
「悪役は初めてだったんですが、演じていて本当に楽しかった!」と語るのは、謎の妖女・ミヅキを演じた菊地。監督に「凛子はミューズだよ」と言わしめるなど、彼女の存在感は役柄にも大きな影響を与えたようだ。「色違いのコンタクトレンズや腰で帯がキュッと締まった色っぽい着物の提案など、キャラクター作りにも参加しました。自分でも悪役は“板についた”感触があります(笑)」と、菊地は確かな手応えを感じている様子だった。
一方、浅野家を破滅に追い込む吉良上野介役に挑んだ浅野は、悪役を演じる上で1つのアイデアを持って撮影に挑んだという。「“悪人は良くなりたくてしょうがない”ということです。吉良からすると“正しい事”をしているのに、それが失敗してイライラが募ってしまう…。この考えを映画に大きくぶつけました。“自分は正しい”と思って気持ちよく振る舞うことで、悪役とはいえ、のびのびと演じることができたんです」と、独自の悪役論を展開した。
「この物語の中心には復讐という“悪しき循環”がある。先祖代々、吉良家と浅野家には因縁があり、すべてがこのサイクルに巻き込まれていくんだ」と、自身の“忠臣蔵”への解釈を語ってくれたのは監督のリンシュ。これまで手掛けてきた数々の有名CMにおいて、そのSF的な世界観が注目を集めている彼は、本作が本格的な長編映画デビュー作となる。
その人柄について、浅野は「監督の生み出す日本の世界観は、まさに西洋人ならでは。その世界観といかに向き合っていくか、毎回戦いでもあり、楽しみでもありました」とその独創性を高く評価していた。対する監督も、「2人のお陰で役柄がどんどん膨らんでいったんだ」と信頼を寄せていたが、「吉良のために用意した白髪ロングヘアのカツラは、忠信に『NO!』と言われたけどね(笑)」と思わぬエピソードがあったことも暴露した。
菊地は「浅野さんとは10年来の付き合いで、いわば戦友のようなもの。だから『面白いことをやってやろう』って、すごくアグレッシブに協力して役作りができました」と振り返り、浅野も「僕らは日本の芸能界でもアウトサイダーな2人。だから悪役にちょうどいい(笑)」と納得した表情を浮かべた。近年はハリウッドでの活躍も目立ち、新たな魅力を放ち続けている菊地と浅野。正義を誓う赤穂浪士たちとの戦いの中で、濃い悪役2人が作り上げた絶妙なコントラストをぜひ劇場で確かめてほしい。【取材・文/トライワークス】