知っていればもっと楽しめる! “記録”で見る第86回アカデミー賞
映画界最高の名誉、アカデミー賞。長い歴史を持つこの賞も今年で86年目を迎え、現地時間の3月2日(日)にまた新たな1ページが刻まれようとしている。今年のアカデミー賞は“記録”にまつわる候補者が多く、受賞式で歴史的な瞬間が生まれる可能性も高い。そこで事前に知っておけば受賞式をより楽しめるそれぞれの“記録”を紹介したい。
まずは、“オスカーの顔”メリル・ストリープ。2年前の受賞スピーチで「またあの女か、と思われてるでしょうけど」と自分からジョークにするほどの常連だ。今年は傑作舞台劇を映画化した『8月の家族たち』(4月18日公開)で気の強い母を演じ、助演も含めた女優賞ノミネート記録を18に更新した。また、昨年主演女優賞に輝いたジェニファー・ローレンスは、天才詐欺師を痛快に描いた『アメリカン・ハッスル』(公開中)の子持ちの母役でまたも存在感を発揮し、今年は助演女優賞の候補に。もし受賞となれば2年連続の受賞となる。
黒人監督初の監督賞を期待されているのが『それでも夜は明ける』(3月7日公開)のスティーヴ・マックイーン監督。人間の本質を深くえぐるような作風に定評があるが、今作では残酷な扱いを受ける黒人男性の物語を見事に描写した。そして、同作に主演したキウェテル・イジョフォーも、主演男優賞にノミネートされている。同賞ではレオナルド・ディカプリオ、マシュー・マコノヒーら強力なライバルがひしめいているが、前哨戦となる第67回英国アカデミー賞で主演男優賞を獲得し、5人目の黒人男優による受賞の可能性が高まってきた。
極めつけはベテランの大記録。疎遠になった父子のロード・ムービー『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(公開中)で頑固親父役のブルース・ダーンは、77歳という最年長記録で主演男優賞を狙う。もし受賞すれば、往年のスター、ヘンリー・フォンダの76歳を抜く記録に。ちなみに、同作で父子に連れ添う妻役を演じたジューン・スキッブはさらに上をいく84歳で助演女優賞にノミネートされている。
記録はあくまでも1つの指針に過ぎないが、初めて黒人女性が主演女優賞を受賞したハル・ベリーの感動的なスピーチや、『ダークナイト』(08)でのヒース・レジャーの故人受賞など、心に残る名場面を生んできた。今年のアカデミー賞でもそのような熱い瞬間が訪れるのか、大いに期待したい。【トライワークス】