佐藤健と藤原竜也を直撃!続編『るろうに剣心』不屈の精神力の源とは?
佐藤健は「日本映画の歴史が変わる」と口にした。藤原竜也は「限界までやった」と胸を張った。大ヒット漫画を実写映画化したアクション大作『るろうに剣心 京都大火編』(8月1日公開)『るろうに剣心 伝説の最期編』(9月13日公開)を語る者たちからは、充実感と自信、そして高揚感が溢れ出す。完成作を見れば、その言葉も大いに納得。それらすべての熱が、スクリーンに圧倒的な力となって映し出されているのだ。一体、何がそこまで彼らを突き動かしたのか。『京都大火編』公開を前に、佐藤健と藤原竜也に語り合ってもらった。
主人公の緋村剣心に魂を吹き込んだ佐藤は、「続編の難しさというのは、よくわかっていた」とうなずく。2012年に公開された前作は、佐藤の剣心への見事なハマりっぷり、圧倒されるようなアクションも話題となり、興収30億円を超える大ヒット。それだけに「プレッシャーももちろんありました。ただ、前作を超えればいいというものではない。とにかく本気を出して、自分にできることを精一杯やろうと思った」と、剣心を再び演じられる喜びの一方、気の引き締まる思いがした様子。「どこまで行けるかは誰にもわからない。ただただ、上を目指しました」と、剣心を通して限界にチャレンジした。
続編で剣心の宿命の敵・志々雄役に抜擢された藤原は、「めちゃくちゃ緊張しました」と現場に入る前の気持ちを述懐。「非常に温度の高い現場。大友(啓史)監督もそうだけれど、みんなが後戻りできない状況を作り上げていて、もう、突っ走るしかないだろうと。そういう思いでやっている空気がありました。みんなが後ろを振り向かず、ただ前進あるのみという感じ。身の引き締まるような、居心地の良い現場でしたね」。
前作以上にスケールアップした本作。思わず釘付けになるようなシーンの連続だが、佐藤自身は前作からの“進化”をどのように感じているのだろうか?「スタッフもキャストも前作から引き継がれていて。やっぱり人って、一度やったら自分に何が足りないかがわかるじゃないですか。照明や衣装、アクション部など、それぞれのプロフェッショナルが前作を見て、『俺、もっとできたんじゃないか』と思っていて。次をやるなら、さらにそれを上げて、『もっとやってやろう』というようなスタッフが集まっているんです」。
その並々ならぬ向上心は、佐藤自身も同じ。「僕も前作のアクションは、もう見られないんですよ。全然ダメだとか思っちゃって」と告白。「やっぱり、自分ではダメなところに目がいっちゃうし、だからこそ今回は、『もっとやってやろう』と思った。前はただがむしゃらにやっていたけれど、今回はやるべきことが明確に見えていた。それをまず克服していくところから始めたので、アクションは間違いなくパワーアップしている自信があります」とキッパリと語る。
あらゆる作品に引っ張りだこの藤原だが、その彼にとっても「贅沢な空間でした。このテンション、いいなぁと思って。こういう現場は滅多にないですよ」と刺激ある現場だった様子。「究極をいっているんじゃないかと思いますね。エンタテインメントとして、大友監督の本領発揮というか、してやったり感があるんじゃないかな」と大友監督や佐藤をはじめ、誰もが高みを目指す現場に心を震わせていた。
スタッフ・キャスト誰もが本気を出して、「もっとやってやろう」と思う。本作におけるこの不屈の精神の源は、一体何なのだろう?すると佐藤は、「大友組だからですよ。大友監督に『やっちゃって!いいよ、やって』と言われるから、『じゃあ、やります』って」と笑う。「大人の世界って、本気を出すと迷惑がられてしまうことがあるじゃないですか。だからなかなか、本気を出せない。誰もがどこか折り合いをつけてやっているところがある。そういうことに常にフラストレーションを感じていたスタッフが、今回は本気を出しちゃったという感じで」。
さらに「僕もそうで、やりたいことはたくさんあるけれど、やっぱり映画ってみんなで作るものだから、どこか自分を抑えてやらなくてはいけないところもある。でも今回は、120%自分のやりたいこと、理想と思うことをできた」と充実感をみなぎらせる。すると藤原も、「僕も、大友監督と健くんの魂の1作に出させてもらったのが本当に嬉しい。主役がここまで自信を持って、清々しくしている。そんな姿を見るだけでも嬉しいです」と、佐藤に最敬礼だ。
剣心という当たり役を得て、ひと回りもふた回りも大きな役者となった佐藤。最後に、剣心は自分にとってどんな存在になったのかを教えてもらった。「剣心って、とても正しいことを言う人なんです。生きていて、迷ったり、どうしたらいいんだろう悩んだりした時は、『こういう時、剣心ならどうするんだろう』と思えるくらいの人。お手本や師匠のような存在だと思っています」。めっぽう強くて、めっぽう優しい剣心。そして最狂の敵・志々雄。大友監督のもと、身も心も“生き抜いた”彼らの死闘を、ぜひスクリーンで堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】