瑛太と松田龍平が互いの好きな点を告白!

インタビュー

瑛太と松田龍平が互いの好きな点を告白!

寝食も共にするバツイチ男2人が、便利屋を営みながら、予想外の事件に巻き込まれていく。一見、ヘンテコだけど、愛せずには入られない名コンビが、三浦しをんの人気小説『まほろ駅前』シリーズの多田啓介と行天春彦だ。映像化された2人を演じたのは、瑛太と松田龍平。最新作『まほろ駅前狂騒曲』(10月18日公開)を控えた2人にインタビューし、映画の撮影裏話から、互いに対する思いについて話を聞いた。

『まほろ駅前多田便利軒』(11)、連続ドラマ「まほろ駅前番外地」(13)に続く、映画化第2弾である本作。今回の2人は、多田がこっそり引き受けた、行天の実娘の子守り代行に苦戦したり、謎の元新興宗教団体の調査で、バスジャック事件に遭遇したりして、大ピンチ状態に陥る。

瑛太によると「行天のアクションに対して、多田が単純に反応していくのではなく、行天の過去も絡んでくるから一筋縄ではいかない」と言う。「単純なボケとツッコミみたいなことではないから、新鮮だと思います。行天としては肩すかしになるところがあるかもしれないけど、多田としては、何か思いがあってやっているのかもしれないし。その辺の思いで、2人が新境地に立つところが、お客さんに伝われば良いなと思っています」。

松田は、シリーズ化作品ならではの見どころを強調。「前作を見てなくても楽しめるけど、出会ってから時間が経ち、今回はこれまで2人が抱えている問題に対して、どう向き合っていくかという話でもあります。『まほろ』全体としては親と子の話でもあるし。自分の子供に対して何ができるのかとか、何が最善なのかってことは、それぞれの価値観であって、誰も正解を知らない。わからない中で自分なりの答えを探していく感じです」。

その親子の物語と並行し、多田の不器用な恋の行方も描かれていく。それを端的に表わしているのが、多田のキスシーンだ。多田が、意中の人・柏木亜沙子(真木よう子)に車中でキスをしようとするが、シートベルトに阻まれてしまう…。実は、現場で起きたアクシデントだったが、大森立嗣監督がそのまま採用した。

瑛太は「キスしようとしたら、シートベルトのロックが掛かってしまいました」と苦笑い。「監督は、実際に現場で起きたことを拾っていきたいと言っていましたが、それを段取りでやった後、テスト、本番とやることになり、何回も同じキスの失敗をするってことが、すごく恥ずかしかったです。その後、やっぱり本番ではキスをした方が良いと思って、本気で力強く行ったら、その方がロックってちゃんと掛かるんですよね。驚きました(笑)」。

でも、その後、松田から突っ込みが入ったようで「取材が始まってから、龍平に『あそこはやっぱりすべきでしょ。見たかったんだけど』と言われて。ああ、確かにした方が良かったのかなという気持ちにもなっています」と言う瑛太。松田は「多田っぽいなと思ったのですが、僕は、その多田っぽさを超えてほしいとも思ったので。今までずっとそういうことばかりをやってきたから、逆に楽しみにしていました(笑)。でも、やっぱり多田だったんだ、という感じです。個人的な希望としては、一回失敗しても、シートベルトを外してやってほしかった」とリクエスト。瑛太も「そうだね」と笑う。

公私共々仲の良い2人だが、改めてお互いに好きな点について聞いてみた。瑛太は「理由なく良いです」と少し照れながら話す。「人として好きってことは、一緒にいて面白いってことですね。最近特に、行天や他の龍平の作品を見ていて思うことがあるんです。松田龍平っていう人間のすることを、たぶん誰もできないんだけど、それに上乗せして、龍平が何か違う役をやった時、さらに誰もできなくなるんです。『舟を編む』(13)の馬締くんもそうだったし。そういうところは、俳優同士としてすごく刺激をもらうし、行くところまで今後も行ってほしいと思う。この先の行天も、松田龍平という俳優に対しても、僕はすごく興味があります」。

松田は瑛太について「何か、瑛太の声って、アルファ波みたいな鎮静作用があるというか、聞いていて心地いいんです」と切り出すと、瑛太は「ハハハ」と笑い出す。松田はその後、ちょっと真面目な表情に切り替え「僕も同じです」とこう続けた。「作品を見ると、瑛太にしかできないなってことをすごく感じるし、役者として面白いなとも思います。あと、やっぱり人と会う理由って、自分自身がその人と会って、前を向けるとか、生きることにもっと意欲が湧くかどうかってことなのかなと。そう思えることって本当に素晴らしいと思いますが、瑛太はそれを感じられる人です」。

役柄によって、時に激しく、時に優しく、時にコミカルにと、いろんな表情を見せてくれる演技派の2人だが、インタビューでは、終始穏やかで、同じような空気感が流れていた。そのマッチング度がなんだか不思議に心地良い。そして、改めて感じたのは、2人の間に、時間が築き上げた揺るぎない信頼関係があるということ。また、互いに俳優としても人としても、とても上手にキャリアを重ねてきたことが伺えた。【取材・文/山崎伸子】

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