二宮和也、“母”吉永小百合に演技を絶賛されて照れる
現在、撮影中の山田洋次監督の83作目となる最新作『母と暮せば』(12月12日公開)。物語の舞台となる長崎にてクライマックスシーンの撮影を行われ、撮影の合間に山田監督のほか、吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一らメインキャストが一堂に会し、本作への想いを語った。
本作は、戦後、長崎で暮らす母のもとに原爆で亡くしたはずの息子が現れ、楽しかった思い出話や、残していった恋人の話をして過ごす2人の日々を描いたファンタジー作品。撮影されていたのは映画のラストとなるシーンで、長崎のカトリック教会を舞台に、母親の伸子(吉永)と息子の浩二(二宮)が教会の中を二人で寄り添って歩く感動的な場面だ。気温33度を超える暑さの中、映画のクライマックスということもあり、山田監督の演出には熱が入り、現場は緊張感に包まれていた。
長崎での撮影について山田監督は、「この長崎の地で主な出演者がみんな集まって、クランクアップを迎えることができ、こういった形で作品を終えることができると思うと『よーい、はい』と言うのもなんだか胸がいっぱいになります。また、俳優、スタッフみんなに感謝の気持ちでいっぱいです」とコメント。
吉永は、「この作品に参加できて感無量です。でも、山田監督のこの映画にかける熱い思いや情熱に応えられているかどうか、今はとても不安で不安で、もっともっとできたんじゃないかと自分では反省しているんですけど、素晴らしい共演者の方々と共演できてクランクアップを迎えられるということはとても嬉しいです」と語った。
吉永の息子役で山田組に初めて参加した二宮は、「初めはとても緊張していたのですが、一日一日が非常に贅沢な時間だと感じることができました。また僕は作品の性質上、吉永さんとしか会話ができないので(笑)、今日はこんなにたくさんの人と会えて嬉しいですし、新鮮な気持ちです。長崎という地で終われるのが、卒業旅行ではないですけど、この地で終えられてよかったなと思っています」と、充実した表情。
今回“母子”を演じた感想とお互いの印象についてコメントを求められると、吉永は「二宮さんとは初めて会ったその日から、もしかしたら本当に自分の息子なんじゃないかと思うくらい、寄り添って演じることができました。かわいい息子です。お芝居は二宮さんはとてもしなやかなで、どんな状況でも力を入れずに、本当にすばらしい存在感で、私は引っ張ってもらいました。こういう息子に出会えて本当によかったと思います」と“息子”をベタ褒め。
すると二宮は恥ずかしそうに「そう言っていただけただけで、この作品に出てよかったと思います。吉永さんから、僕の小さい頃の写真を見せてほしいと言われ、僕も久しぶりに自分の写真を見ました。そのことをきっかけに、実際には共有していない思い出などが想像できました。本当に、とても優しいお母さんで、撮影が終わる度に『よかったね、よかったね』と言ってくれて、一度撮影が終わった時に抱きしめてくださいました(笑)」と明かした。
山田監督も、「本当にお二人は甘ーいんですよね。とても甘いトローンとした味が漂っていてね。小百合さんも浩二の役に二宮さんが決まったと聞いたら、何度もよかったと喜んでくれて、いいキャスティングができたというよりは、この二人じゃなかったら成り立ってないんじゃないかと。時として恋人に見えるような甘さ、そういう独特の母子の物語になりえているのではないかと思います」と満足気に語った。
共演した黒木、浅野、加藤も口々に「嬉しかった」「楽しかった」「感無量」と感想を語り、時には笑いが起こる和やかな現場だった『母と暮せば』。終戦70年となる今年、山田監督がなみなみならぬ思いで映画化に挑んでいる本作の完成まで、あとわずかだ。【Movie Walker】