第28回東京国際映画祭、コンペ部門に日本映画3本が出品
いよいよ10月22日(木)の開幕が迫ってきた第28回東京国際映画祭。今回、映画祭の顔となる“コンペティション部門”に日本映画3作品の出品が決定。コンペティション部門に日本映画が3作品も出品されるのは実に11年ぶりのことになる。
1作品目は、日本人画家・藤田嗣治の知られざる半生を描いた日仏合作の『FOUJITA』(11月14日公開)。『泥の河』(81)『死の棘』(90)『眠る男』(96)などで国際的に高く評価されている小栗康平監督の10年ぶりの新作で、オダギリジョーがフジタに扮するほか、妻の君代を中谷美紀が演じており、昨年、フェスティバル・ミューズを務めた中谷美紀の「いつか女優としてコンペティション部門で映画祭に戻って来たい」という願いが一年で叶った形となる。
2作品目は、人間と本物のアンドロイドが実際に共演する平田オリザの演劇「さようなら」を映画化した『さようなら』(11月21日公開)。2010年に『歓待』(10)が日本映画「ある視点」部門で作品賞を受賞し、2013年に『ほとりの朔子』(13)がコンペティション部門に出品されるなど、東京国際映画祭に馴染みの深い深田晃司監督が、3度目の登場を果たす。
そして3作品目は、小野不由美の小説を映画化したホラー『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』(16年1月30日公開)。『ゴールデンスランバー』(09)『ジェネラル・ルージュの凱旋』(09)など、数々の人気原作の実写映画化を成功に導いたヒットメーカー・中村義洋監督が、満を持してのコンペ出品。今作が初共演となる実力派女優の竹内結子と橋本愛の演技も見どころだ。
3作の選定理由について、プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦氏は「巨匠、ヒットメーカー、若手のホープ。3名の異なるタイプの監督をお迎えすることで、日本映画の実力と多様性を世界に発信したいと思いました。コンペに邦画が3作品も入ったのは2004年の第17回開催以来なので11年ぶりです。仕事柄、世界中の作品を観ていますが、近年日本映画のクオリティはとても充実していると感じており、世界にひけを取りません。この勢いが今年の映画祭で反映される形となりました」とコメント。
さらに「小栗監督は『FOUJITA』において自らの妥協なき美学を具現化し、芸術映画の牙城を死守しています。中村監督は『残穢~』で恐怖演出の歴史に新たな金字塔を打ち立て、日本の伝統的な怪談映画を深化させました。深田監督は『さようなら』で今まで見たことのない日本映画を完成させ、次代のトップランナーに躍り出ると確信しています。まさに三者三様。コンペの日本映画、鉄壁の布陣です」と力強く語っており、期待が高まる。
今年のコンペティション部門への応募総数は1409本(86の国と地域から)。日本映画3作品以外の選出作品は、9月29日(火)に行われる「ラインナップ発表会」にて発表される予定だ。【Movie Walker】