【第53回NY映画祭】ロバート・ゼメキス監督作で第53回NY映画祭開幕!
第53回ニューヨーク映画祭が、現地時間の9月25日から10月11日まで開催されている。今年もニューヨークならではのラインナップが勢ぞろい。オープニングは25日に上映予定だったが、世界平和のために訪米していたローマ法王のニューヨーク訪問と重なったため、1日遅い26日に変更するという異例の措置が取られた。
そのオープニングを飾ったのは、9.11の世界同時多発テロで崩壊した、今はなき世界貿易センタービルのツインタワーの頂上間をワイヤーで渡るという神業を成し遂げたフランス人フィリップ・プティを描いた、ロバート・ゼメキス監督待望の新作『ザ・ウォーク』(日本16年1月23日公開)だ。
センターピースには、アップル社のCEOだった故スティーブ・ジョブズを描いたダニー・ボイル監督作『Steve Jobs(原題)』、クロージングには、1991年に65歳で死去したモダンジャズの帝王でトランペット奏者のマイルス・デイヴィスを描く伝記映画で、俳優ドン・チードルが初メガホンを取った主演作『Miles Ahead(原題)』が、それぞれ選ばれた。いずれの作品も、肉薄した演技で実在の人物を描いていると評判で、早くもアカデミー賞作品賞及び主演男優賞の候補として名を連ねている。
他にはこちらもオスカーの呼び声高いスティーブン・スピルバーグ監督、コーエン兄弟脚本、トム・ハンクス主演の『ブリッジ・オブ・スパイ』(日本16年1月公開)がワールドプレミアで上映されるほか、第68回カンヌ国際映画祭を賑わせた作品も登場する。
まず、グランプリを受賞したラズロ・ネメス監督作『SON OF SAUL(英題)』、台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督8年ぶりの最新作で、監督賞を受賞し妻夫木聡も出演している『黒衣の刺客』(日本公開中)、ルーニー・マーラが女優賞を受賞したトッド・ヘインズ監督作『キャロル(原題)』(日本16年新春公開)、ヴァンサン・ランドンが男優賞を受賞したステファヌ・ブリゼ監督作『THE MEASURE OF A MAN(英題)』、ギリシャ人監督ヨルゴス・ランティモスの初英語作品で、コリン・ファース、レイチェル・ワイズ、レア・セドゥなど豪華キャストが勢ぞろいした審査員賞受賞作『The Lobster(原題)』ほか、ナンニ・モレッティ監督作『Mia Madre(原題)』、黒沢清監督作、深津絵里、浅野忠信主演の『岸辺の旅』(10月1日公開)などが上映される。
また、ピーター・サースガード、ウィノナ・ライダー主演の『Experimenter(原題)』、イーサン・ホーク、ジュリア・ムーアらが出演し、ダニエル・デイ=ルイスの妻で、故アーサー・ミラーの娘レベッカ・ミラー監督作『Maggie's Plan(原題)』、フィリップ・ガレル監督作のモノクロ映画『In the Shadow of Women(原題)』、アルノー・デプレシャン監督作『My Golden Days(原題)』、ジョン・クローリー監督作『Brooklyn(原題)』、そしてアメリカ社会の恥部を描かせたら右に出る者はいないマイケル・ムーア監督作『Where to Invade Next(原題)』などが公開される。
さらに、巨匠ポール・トーマス・アンダーソン監督が、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが今年初頭にインドで行ったレコーディングを映したドキュメンタリー映画『JUNUN(原題)』が特別上映されるなど、今年も個性豊かな作品がラインナップされている。
同映画祭のラインナップに選ばれた『アーティスト』(11)、『それでも夜は明ける』(13)、そして『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)がアカデミー賞作品賞他各賞を受賞しており、オスカー受賞の確率はかなり高いと言えそう。今年はどの作品が受賞するのか、今から楽しみだ。【NY在住/JUNKO】