映画はハイリスク、ハイリターン!『タイタニック』と『ファイナルファンタジー』の数字の落差に驚愕
JIMCA(日本国際映画著作権協会)が、大学生・専門学校生を対象に、知的財産権について考える講演会「Summer Cinema Workshop 2016」を、8月9日に六本木ヒルズクラブで開催。米国大使館、文化・交流担当官のデール・クライシャー、米国大使館、広報・文化交流部/デジタルメディアコーディネーターの糸井恵、明治大学の今村哲也准教授、ワーナー・ブラザース映画の宣伝責任者・小杉陵が、レクチャーを行った。
講演会に参加したのは、映画業界、著作権保護に興味のある学生約100名。彼らが新作映画『スーサイド・スクワッド』(9月10日公開)を観た後、映画著作権保護思想の普及を目的とした講演会を聞き、同作の広報文・コピーを作成、SNS上にて投稿してもらうという流れだった。
今村先生は、映画コンテンツについて「多様な収益ソースがあり、プレイヤーが多い。ハイリスク、ハイリターンです」と説明。利益を上げた作品として『タイタニック』(97)が2億8600万ドルの製作費で、世界興行収入21億8677万ドルを稼いだことに対し、『ファイナルファンタジー』(01)が1億3700万ドルの製作費をかけたにもかかわらず、世界興行収入が8513万ドルで大赤字になったことを例に挙げる。先生は「映画でこけるとリスクが高い。だから権利を守らないといけない」と示した後、コンテンツ窃盗についてレクチャーした。
続いて、ワーナーの小杉は、主に映画のマーケティングについて学生たちに指南した。大ヒットした『アベンジャーズ』や『アイアンマン』などのアメコミシリーズについて「楽しい、意外性がある、共感しやすい」というポイントを挙げ、続いて8月5日に全米公開された『スーサイド・スクワッド』が、週末興行収入1億3510ドルを記録し、8月に公開された映画のオープニング興行収入歴代第1位というメガヒットスタートを切ったことを紹介した。
「初日の観客の46%が女性客で、これまでのヒーロー映画とは一線を画します。『バットマン』や『スーパーマン』などは、哲学的で面倒くさくて暗いイメージがありましたが、『スーサイド・スクワッド』は色味も明るく、ポップで女の子が主人公として見せるような展開にしています」と、宣伝戦略を語った。終始、学生たちは興味深くレクチャーを聞いて、広報文やコピーを手がけた。
『スーサイド・スクワッド』は、DCコミックスのスーパーヒーローたちと対峙する悪役(=ヴィラン)たちが結集した異色アクション。バットマンの敵でチーム最凶の男、ジョーカー役をジャレッド・レトが、元マフィアの殺し屋デッドショットをウィル・スミスが演じる。【取材・文/山崎伸子】