オリバー・ストーン監督が米社会に警鐘「独裁的な帝国はカオスを生む」
『スノーデン』(1月27日公開)のオリバー・ストーン監督が来日し、1月18日にザ・リッツ・カールトン東京で開催された記者会見に登壇。監督は2013年に広島を訪れているが、映画のプロモーションは『ウォール・ストリート』(10)以来6年ぶりとなった。日本について「変わったかどうかなんてわからない。だってずっとホテルで取材漬けだったから」とぼやいた後、日本語で「カロウシ(過労死)」と言って笑いを取った。
本作を撮るきっかけとなったのは、NSA(米国国家安全保障局)の職員だったエドワード・スノーデンの告発後、彼の人権派の弁護士から2014年の1月に連絡をもらったことだと言う。「モスクワに来てくれないか?と言われた。それで実際9回にわたりモスクワに飛び、本人の話を直に聞くことができたので、彼の視点から観た映画を撮ろうと思った」。
主演のジョゼフ・ゴードン=レヴィットには、スノーデンに会った後にすぐオファーを入れたそうだ。「彼が興味をもってくれたからモスクワに連れていき、スノーデンにも会ってもらった。2人は同世代だが、ジョゼフはスノーデンに非常に敬服していたし、実際、彼のすべての動きや物腰を模倣した演技をしてくれたよ」。
ストーン監督はすでに世界的にサイバー攻撃は始まっていると語り、自国アメリカについて「独裁的な帝国はただカオスを生むだけ。このままではいけないと僕は考えている」と警鐘を鳴らす。本作はアメリカ資本が一切入っていないということで「製作は困難だったが、日本で公開してくれることに感謝している」と締めくくった。
アメリカの情報収集プログラムの存在を告発したNSA(米国国家安全保障局)の職員、エドワード・スノーデンの生き様を描く社会派ドラマ。『ザ・ウォーク』(15)のジョゼフ・ゴードン=レヴィットが主演を務めた。【取材・文/山崎伸子】