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千眼美子が明かす“現在地” 、エクソシスト役に挑んだ映画は「大きな転機、集大成」

インタビュー

千眼美子が明かす“現在地” 、エクソシスト役に挑んだ映画は「大きな転機、集大成」

「この映画は、宗教や国籍の違いを超えていけると実感した」

海外の反響もうれしいものとなった
海外の反響もうれしいものとなった 撮影/野崎航正

海外でも反響を呼び、第17回モナコ国際映画祭(本年2月開催)では4冠、ナイジェリアのエコ国際映画祭(本年3月開催)では2冠に輝くなど、合計6か国で26冠を達成している。モナコ国際映画祭では千眼は現地に赴き、着物姿で涙の受賞スピーチを行った。彼女にとっては、映画祭への参加は初めてのこと。「映画祭も初めてですし、モナコに行くのも初めて。みなさんドレスアップなさって、あまりにもキラキラしているので、ちょっと萎縮しちゃいました」と苦笑い。

【写真を見る】千眼美子、モナコ国際映画祭で涙!着物姿で受賞スピーチをした
【写真を見る】千眼美子、モナコ国際映画祭で涙!着物姿で受賞スピーチをした [c]2020 IRH Press

「いろいろな国の人が一同に集まっている場に立ち会う機会もなかなかないので、ドッキドキ。『映画を受け入れてもらえるかな?』と思った」そうだが、「『メッセージが伝わった』とか『主人公の“人々を悪いものから救いたい”という想いに感動した』と声をかけてくださる方もいて。『いい作品だから、あなた、もっと自信を持ちなさいよ!』と背中を叩いてくれた方もいました(笑)」とあらゆる意見に触れたといい、「この映画は、宗教や国籍の違いを超えていけるんだなと実感できた。どんな場所でもみなそれぞれに悩みがあって、純粋な愛ってなんだろうと考えるのは同じなんだなと思ったんです。私自身、撮影をしていた時に考えていた想いがきちんと伝わった気がして、すごくうれしかったです」と緊張は喜びに変わった。

「大きな転機になった。過去を乗り越えたからこそ、できた役」

一歩踏みだせたのは、周囲の支えがあったから
一歩踏みだせたのは、周囲の支えがあったから 撮影/野崎航正

千眼が演じたのは、一見普通の女の子だが、ひとたび悪霊や悪魔と対峙すると、迫力とともに彼らを退散させるエクソシストのサユリ。巫女装束に身を包み、悪魔祓いをするシーンは、本作の最大の見せ場となっている。海外の反響もうれしいものとなったが、役を手にした当初は「きちんと演じられるか不安に思った」という。「脚本を読んで、サユリという役からものすごい“真剣さ”が伝わったんです。悪魔や悪霊など、リスクのある相手と対峙する降魔師というと、本当にプロフェッショナルな世界というイメージがあって。中途半端な気持ちでやっていい役ではないなと思いました。『本当に降魔師の役をやるの!?』と考えると、『怖いなあ』というビビりな自分も出てきてしまって」。

一歩踏みだせたのは、周囲の支えがあったからだと話す。「製作総指揮の大川隆法総裁や、脚本の大川咲也加さんの『前向きなメッセージを伝えたい』という想いを感じて、私も闘志をかき立てられました。また、実際に降魔師になるために修行をしている方も身近にいて、そういった方たちも『一緒に勉強していこう』と励ましてくださった。周囲のみなさんの想いを、強い気持ちに変えていきました」。

サユリのもとを、さまざまな悩みを抱えた人たちが訪れる
サユリのもとを、さまざまな悩みを抱えた人たちが訪れる [c]2020 IRH Press

サユリという大役を演じたことで、さまざまな発見もあった。「サユリは、“人々を救う側”なので、劇中で、人の悪意を餌にしている悪魔からは嫌われる女の子です。撮影を経て、私も明るい気持ちを心がけるなど、悪魔に嫌われるような生き方をしないといけないなと思いました。誰かと比べてうらやましく思ってしまったり、イライラしてしまったり、意見がぶつかってしまったり…。悪い方向にぐるぐると想いを巡らせてしまう時って、どうしてもありますよね。そういった悪意が顔をのぞかせた瞬間に、悪魔に狙われたかのように、その想いに引っ張られてしまう時がある。常に『そういう瞬間があり得るんだ』と意識を持つようになりました」。

完成した本作について、「大きな転機になった気がしています。これまでの集大成ともいえると思います」と打ち明ける。「出家していなければ、絶対にやり遂げることができなかった役です。ナイーブな話になりますが、若いころって『生きていくのが辛い』と思ってしまったりすることもありますよね。大人になっても、仕事や人間関係、恋愛で悩んでそう思ってしまう人もいる。私自身も、そうだったんです。そんな時に『なんのために生まれて、死ぬまでになにをしなければいけないんだろう、死んだ後はどうなるんだろう』と考えていくうちに、一人ひとりの命の尊さがわかった瞬間があった。そういった過去を乗り越えていなければ、サユリを演じることはできなかったし、過去の痛みから回復して、ちょっと強気に(笑)、プラスの方向に進むことができているからこそ、『周りの人に支えられて、生かされて、いまの自分がある』と思えたんです。いろいろなことを振り返る機会にもなって、すごく貴重な役をいただけたなと思っています」。

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