アーロン・エッカートが語る、SNS時代のメディアと正義を描く秀作『ライブリポート』の魅力

インタビュー

アーロン・エッカートが語る、SNS時代のメディアと正義を描く秀作『ライブリポート』の魅力

「私がこの映画を気に入っているのは、法執行機関とメディアがどのように連携しているかを両方の側面から示しているところです」。こう語るのは、『サンキュー・スモーキング』(06)でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされ、『ダークナイト』(08)や『エンド・オブ・ホワイトハウス』(13)といったヒット作でも存在感を示してきたアーロン・エッカート。確かな演技力はもちろん、アクションにも定評がある彼の最新作『ライブリポート』が6月12日(金)より公開を迎える。エッカートやスタッフのコメントを通して、本作の魅力に迫ってみたい。

スタントの大半を自らこなしたエッカート
スタントの大半を自らこなしたエッカート[c]2019 LIVE MOVIE LLC

警察署長の娘が誘拐され、捜査中に失態を犯したベテラン警察官のペニー(エッカート)は、停職を言い渡される。しかし、そんな時に誘拐犯から、狭い空間に監禁された人質が水責めにあっている映像と共に、“64分後に娘は死ぬ”というメッセージが送られる。責任を感じ一人で救出に向かうペニー。そんな彼が、配信サイト「ザ・ピープル.com」の熱血リポーター、エイヴァ(コートニー・イートン)の強引な取材を受け、なし崩し的に共同捜査を開始することに…。

ペニーは動画配信サイトのリポーター、エイヴァと行動を共にすることに
ペニーは動画配信サイトのリポーター、エイヴァと行動を共にすることに[c]2019 LIVE MOVIE LLC

本作の特徴と言えるのが、ペニーら登場人物とライブ配信を行うカメラの2視点で物語が進行していくところ。格闘シーンや銃撃戦といった迫力ある映像が楽しめるのと同時に、エイヴァが持つスマホからの一人称視点の光景も映しだされる。二人の捜査が、いままさにそこで行われているような臨場感があり、ぐいぐいと作品に引き込まれていく。

通常カメラとスマホからの映像による臨場感が魅力
通常カメラとスマホからの映像による臨場感が魅力[c]2019 LIVE MOVIE LLC

主役のエッカートはペニーについて、「過去の事件でトラウマを抱えている引退を待つだけの古臭い警察官」と語っている。デジタルやSNSに疎く、“カウボーイ”とも揶揄されるペニーとミレニアム世代のエイヴァは、水と油で口論が絶えない。しかし、共に危険を乗り越えていくことで二人の結束は固くなっていく。「『ライブ配信』という言葉の意味も理解していなかったペニーが徐々にそのよさを理解し、一方で泥臭く走り回る警官の“古臭い熱さ”、正義のための執念のようなものを理解しなかった若者エイヴァもまた、それを認めるようになります。互いの良さを認識し合う姿は、この映画ならではのオリジナリティだと思います」

エイヴァ視点でペニーの隣にいる感覚に
エイヴァ視点でペニーの隣にいる感覚に[c]2019 LIVE MOVIE LLC

本作では、動画を見た視聴者や、それを流すテレビ局の姿も描かれる。最初はエンタメとして映像を傍観していた人たちが、ペニーとエイヴァの奮闘に感化されていく。「たくさんの映画が作られているいま、私たちは本作が意味することについてよく話し合いました。そして、法執行機関とメディアの関係、環境について描くことが大事だと思ったんです。メディアを通じて市民が捜査協力をしてくれる。古い世代とミレニアム世代、社会正義とメディアのあり方、それぞれの関係が見られる作品です」

ゴールデングローブ賞ノミネート歴もあるエッカート
ゴールデングローブ賞ノミネート歴もあるエッカート写真:SPLASH/アフロ

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