アーロン・エッカートが語る、SNS時代のメディアと正義を描く秀作『ライブリポート』の魅力
相いれない存在が相互作用して事件解決に向かう本作。そのメッセージ性の高さに反して、ペニーと誘拐犯の攻防が全編通して展開されるなど、エンタメ感あふれる作品にもなっている。エッカート演じるペニーは、市街地を全速力で走り回り、軽自動車から運送トラックまで運転し、ピストルやマシンガン、ショットガンを駆使しながら銃を撃ち合っている。そして、それらのアクションはほとんどスタントなしで行われたという。体当たりで役に臨んだエッカートの姿勢について、プロデューサーのクレイグ・チャップマンはこう語る。
「配役について、最初に頭に浮かんだのはアーロンでした。そして、彼自身も役柄や脚本をとても気に入ってくれたんです。撮影のすべてを前向きに受け入れてくれて、自ら大半のスタントをやってのけたんです。彼がここまでスタントができるとは知りませんでしたが、やってみてほしいと頼んだことはすべて経験済みで、それ以上のパフォーマンスを披露してくれました」
また、ペニーは猪突猛進なところもあるが、早朝の腕立て伏せや腹筋を日課にするなど、根は真面目な性格。また、管轄区域に住む子どもとも気さくに交流しており、親しみあるキャラクターとして描かれている。それらの要素は演じるエッカート自身にも通じるところがあるようで、「アーロンはできるだけ自分でやりたい人なんです。『世界侵略 ロサンゼルス決戦』に出演し時に、骨折しながらも最後まで撮影をやり遂げた人なので、本作の撮影中も『アーロン、落ち着け!君は主役だし、撮影の最後まで必要なんだ』となだめる必要がありましたね(笑)」と冗談交じりに語るのは撮影監督のブランドン・コックス。
撮影に対するエッカートの姿勢にも感服したそうで、「アーロンについて一つ言わせていただくのなら、彼はまさに“マシーン”ということですね。つまり、止まることを知らないんです。こだわりがあるし、情熱もある。それに、仕事を愛している。納得がいかなかった場合、もう一回やり直して、一回目よりも良いものを出してくるんです。走ったり、飛んだり、戦ったり、高いところから落ちたり、汗をかいて、切りつけられたりしているんですよ。しかも、動いたり、止まったりする車のボンネットの上だって走るんです。本当にマシーンなんです(笑)」と興奮気味に振り返っている。
アーロン・エッカートがキャラクターやストーリーに惚れ込み、全力で取り組んだ『ライブリポート』。古風な警官と現代的なリポーターの凸凹バディも楽しみつつ、緊迫ある誘拐捜査を、固唾を飲みながら見守ってほしい。
構成/トライワークス