11年ぶりにカムバック!シルベスター・スタローンが明かす、「ランボー」の今後とは?
「僕はこのジョン・ランボーという男を愛している」。『ランボー ラスト・ブラッド』(6月26日公開)で、『ランボー 最後の戦場』(08)以来11年ぶりにジョン・ランボー役を演じたシルベスター・スタローンは、37年間演じつづけてきた役柄への強い想いを語る。「彼は誰もがきっと持っている社会に対する想いを体現してくれる男。久しぶりに彼を演じることは、まるで旧友に再会する心持ちだったんだ」と、嬉しそうな表情を見せた。
ベトナムからの帰還兵であるジョン・ランボーが、社会からの偏見に直面する姿を悲哀を込めながら描きだした第1作が公開されたのは1982年。つづく『ランボー/怒りの脱出』(85)ではカンボジアのジャングルを舞台に、『ランボー3/怒りのアフガン』(88)ではアフガニスタンを舞台に死闘を繰り広げる姿が描きだされ、20年ぶりに制作された前作ではタイのジャングルでひっそりと暮らしていたランボーが“戦場”に復帰。そして最新作では、祖国であるアメリカで暮らしていたランボーが新たな戦いに身を投じる姿が描かれていく。
故郷のアリゾナで、古い友人のマリアとその孫娘ガブリエラとともに牧場を営みながら穏やかな日々を送っていたランボー。ある時、ランボーに内緒で本当の父親に会うためにメキシコに向かったガブリエラは、そこで人身売買カルテルに拉致されてしまう。すぐさまガブリエラを救出しようとメキシコに渡ったランボーだったが、カルテルのボスであるマルティネス兄弟をはじめとした男たちに囲まれ袋叩きに…。重傷を負ったランボーは、ジャーナリストのカルメンに助けられ意識を回復。そして再びガブリエラを奪還するため、カルテルが経営する娼館へと乗り込んでいくのだが…。
現在73歳を迎えたスタローンは、これまでのシリーズ作同様に本作でもパワフルなアクションを披露している。「今回の撮影ですごく大変だったのは、アクションシーンのほとんどがトンネルの中だったこと。ホコリっぽくて、スタッフやキャストは病気になるし、どうすることもできないようなことが続出したんだ」とその苦労を振り返るスタローン。
「それにアクションはたくさんのカットを繋げなければいけないが、撮影スケジュールがかなり短かった。あと2週間あったら、もっとすごいものが撮れたよ」とアクションへの飽くなき追求心をのぞかせると、「でも、ほかの作品と比べてもとにかく大変だったから、終わった時はものすごく嬉しかったよ!」と微笑んだ。
そのトンネル内でのアクションシーンについてスタローンは「トンネルはランボーにとっての“地獄”。敵を自分の地獄に引き込んでいるところがおもしろいと思う」と語り、その“戦場”の設定に自信をのぞかせる。そこに敵を迎え入れ、様々なギミックを駆使した罠で順番に倒していくというスタイルは「ランボー」シリーズではお馴染みのアクションだ。
「もともとはランボーの知性を見せたいという思いから浮かんだアイデアなんだ。相手を殺すのではなく、止めたいという気持ちがある。彼は自分の土地とともに存在して戦うことができるから、敵は彼を打ち負かすことができない。そして、そのアイデアをパクったのが、あの『ホーム・アローン』だよ(笑)」。
本作は「ランボー」シリーズの最終章と言われており、エンドロールにはファンにとって感涙ものの映像が流れる。今後は続編が作られることはないのだろうか?訊ねてみるとスタローンは「可能性はいつだってあるものだよ」と含みを持たせながら即答する。
「観客のみんなが観たいと思ってくれるかが重要だけど、肉体的にできなくなったこともあるとはいえランボーのマインドは昔のままだ。だからアイデアや、社会的に心の琴線に触れるものをいまも考えているんだ」とシリーズの続行へ意欲をあらわに。
さらに深掘りして、どんなストーリーを考えているのかと訊いてみると「この先ランボーがどこに住めるかを考えたら、先住民の居留地しかないと思うんだ」と語り始めたスタローン。
「彼には先住民の血が流れているし、アメリカでは政府が居留地に介入できない。安全に過ごすことはできるけれど、逆に出ることもできない。政府は常に先住民の土地を奪ったり、コントロールしたりしようとしているので、政府とランボーと先住民の間で何らかの葛藤を物語にできるのではないかと思うんだ。昔ながらのウエスタン風の作品だね」と、すでに新たな戦いのビジョンはできあがっているようだ。
文/久保田 和馬