工藤遥「何度も壁を超えてきた」11歳でのモー娘。加入から『のぼる小寺さん』で初主演を飾るまで
「新しいことに挑戦することには、当然リスクが伴いました」
小寺さんのがむしゃらさは、工藤のパブリックイメージと重なる。工藤は、モーニング娘。に史上最年少である11歳で加入して以降、常に元気印のアイドルであり続けた。
「小さいころから芸能界で活動をさせてもらってきたなかで、何度も壁にぶち当たりました。でも、なんとかやってこれたのは、壁を乗り越える時に、必ず同じ境遇の仲間がいたし、自分に声をかけ、手を差し伸べてくれる人がいてくれたから。本作には、自分がいままで生きてきた人生に置き換えられるような場面が、いくつかあった気がします。これまで、努力をしても、なかなか結果が出なくて、思い通りにいかないなと思ったこともいっぱいあったけど、そういう時もただただ頑張ってきて良かったなと、いまは思えます」。
18歳で女優へとシフト変更をした工藤。「いままでアイドルとしてやってきたことをすべて置いて、新しいことに挑戦することには、当然リスクが伴いました。自分としてはいろいろ考えて選んだ道ですが、やはりアイドル時代にお芝居を経験させてもらった時、自分とは違う人の人生を生きるという女優のお仕事が、とても楽しいと思えたんです」。
また、「もちろん、これからも自分がどういうポジションでやっていけばいいのかということは考えなきゃいけないと思いますが、一番忘れちゃいけないのは、ただただ、演じることが好きだということ。小寺さんと同じで、シンプルに好きだからやりたいし、今後もずっと続けられると、確信しています」とキッパリ言う。
劇中ではドストレートな声援「ガンバ!」という掛け声があちこちで連呼される。昨今は、すでに頑張っている人に対して「頑張れ」と声をかけることに躊躇してしまうという声もよく聞くが、本作の小寺さんを見ていると、そんな迷いは払拭され、頑張っている人に心からエールを贈りたくなる。
「一生懸命に頑張る姿って、本当にかっこいいし、キラキラしていると思います。そしてその頑張りは、本当に裏切らないなと、この作品を通して改めて感じました。『頑張れ』ってありきたりで単純な言葉かもしれないけど、そこに込められた想いは絶大なものです。また、ちゃんと口に出していくことって大事だなとも痛感しました。そういうことが、この映画を通して伝わっていけばうれしいなと思います」。
取材・文/山崎伸子