佐藤浩市と渡辺謙、観客を迎えた『Fukushima 50』カムバック上映舞台挨拶に感慨!

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佐藤浩市と渡辺謙、観客を迎えた『Fukushima 50』カムバック上映舞台挨拶に感慨!

『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)のカムバック上映舞台挨拶が開催
『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)のカムバック上映舞台挨拶が開催

東日本大震災時の福島第一原発事故を描く映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)のカムバック上映舞台挨拶が、7月9日に丸の内ピカデリーで開催され、佐藤浩市、渡辺謙が登壇。映画館の営業再開後、大作としては初めて観客を迎えた舞台挨拶となった。佐藤は神妙な面持ちで「数奇なというか、この半年間、この映画もいろんな変遷をたどったなかで、こうやってもう一度、お客様の前に立てることが不思議な感じであります」と挨拶をした。

渡辺は来場した観客にお礼を述べたあと「この映画を、様々な形で世の中に届けようと、製作段階から、角川歴彦会長やスタッフが努力を積み重ねてくれたことに、いち俳優としても感謝します」と感慨深い表情を見せた。

原作は、門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」で、福島第一原発事故当時、死を覚悟して現場に残った、地元福島出身の名もなき作業員たちの真実を描く。主人公の伊崎利夫役を佐藤が、福島第一原発所長の吉田昌郎役を渡辺が演じた。

本作は3月6日に公開され、週末興行ランキング2週連続1位を獲得。初日舞台挨拶はコロナ禍で中止に、その後、上映館数の激減を余儀なくされたが、現在もロングラン上映中で、期間限定でのストリーミング配信も話題を呼んだ。

伊崎利夫役の佐藤浩市
伊崎利夫役の佐藤浩市

この映画を届ける意義について、佐藤は「世界が置かれているコロナ禍で、人になにができるのか。その方向をちょっとでも間違うと、とりかえしのつかないことになってしまう。ということが、この映画のなかで語られているし、それは映画が語りたかったことでもある。それはいま、置かれている状況と同じことだと思います。人災にしないために、僕ら自身が一人一人考えながら日常を生きる。そういうことが求められている」と語った。

渡辺は「僕は、この映画で描かれている原発事故と、今回のできごとはまた違う側面を持っていると思う」としながら「ある意味、原発事故によって、世の中がいろんなことに変革をしなければならなかったのに、あっという間に普通の生活に戻った。で、今回の厄災が起こったことで、我々はどうやって生きていけばいいんだろうと改めて考えさせられたりします」と神妙な面持ちを見せた。

吉田昌郎役の渡辺謙
吉田昌郎役の渡辺謙

本日7月9日は、食道がんで逝去した吉田所長の命日である。吉田所長役を演じた渡辺は「災害が起きた時に、なにが一番大事かと。それはやっぱり現場の声です。現場でなにを欲しているのか、なにに困っているのか、その(佐藤が演じた)井崎の声を一番切に聞き、本店と闘った吉田さん。気持ちを新たに、この日(命日)に、もう一回皆さまにこの映画を届けられるんだなと。現場を大事にした所長を、この映画を通して感じていただければ」と訴えた。

佐藤は「自分たちはあまりにも知らないことが多すぎた。あんなに身近に起こったことなのに、届いてこないというこの不可思議さ」と無念さをにじませる。
「それはいついかなるときにもどんな事象でも言えること。コロナでも最前線で頑張ってらっしゃる医療従事者の方々が、多少の偏見のなかで生活を送らなければいけなかった。やはり我々が正確に物事を見聞きすれば、避けられたかもしれない。それと同じことなんだろうなと思いました」と言葉をかみしめた。

取材・文/山崎伸子

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