『君が世界のはじまり』ふくだももこ監督と脚本家の向井康介「活字の世界をいかにして映像に翻訳するか」
「映画は、自分の想像を超えていく瞬間が、一番楽しいです」(ふくだ監督)
自身で脚本も書いた経験のあるふくだ監督だが、今回の向井とのコラボレーションについては「素晴らしい体験だった」と喜びを口にする。小説家としても才能を発揮しているが、監督業については「圧倒的に人の意見が入ってくるところがいい」と感じているそう。
「小説は一人、ないしは担当編集者との2人でやっていく作業ですが、映画は関わる人の人数がぜんぜん違います。また、今回のように脚本がむちゃくちゃおもしろかったりするとうれしいし、脚本の文字情報を生身の人間が演じる時、そのキャラクターが立ち上がっていくのを見るのが大好きです。自分の想像を超えていく瞬間が、一番楽しいです」。まさに今回は、幸せなコラボレーションとなったに違いない。
最後に、それぞれの今後の抱負についても聞いてみた。
向井は「2~3年前まで、ドラマを中心にやっていたのですが、今回久しぶりに映画の脚本をやりましたので、しばらくはまた映画を続けてやっていこうかなと。また、小説のほうも書いていきたいと思っています」と意欲を語った。
ふくだ監督は「自分のためにも、映像業界のためにも、保育部を作るというのが今後の目標であり、野望でもあります」とのことで、きちんと未来を見据えている。
今後の活躍も期待したいところだが、まずは両者が、それぞれにすばらしい点を引き出しあった、渾身の一作『君が世界のはじまり』をぜひご覧いただきたい。
取材・文/山崎伸子
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