驚愕!本物の「事故物件」で、リモートワークをしてみたら…?
いざ、事故物件へ
「想像を絶する恐怖が待っていたのだ…。」ということで、冒頭の話につながる。
この『事故物件 恐い間取り』のプロモーションのためKさんが企画したのが、実際の事故物件を見学し、そこでリモート業務を行うことで、ヤマメの気持ちを理解するというものだ。
神奈川県の某駅で待ち合わせたKさんは、初対面ながら気さくに挨拶をしてくれた。好青年風なKさんだが、『事故物件 恐い間取り』と大きく書かれたTシャツを着ており、明らかに周囲から浮いている。物件までの道のりは、少し離れて歩くことにした。
ホラー映画の宣伝をしている人間というと、「怖いもの知らずなのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、「普通に怖いです。1人にはなりたくないですよ」とKさんは言う。
駅から10分ほど歩いた住宅街にある小綺麗なアパートの一室が、例の事故物件だ。事故物件を専門に取り扱う「成仏不動産」にご協力頂き、鍵をお借りして階段を上がった。
いざ部屋の前につくと、ある種の異様な緊張感が感じられる。Kさんは「開けます」とつぶやき、恐る恐る扉を押し開いた。
実際に物件内に足を踏み入れてみると、まず新鮮な空気に驚く。清掃後なのだから当たり前だが、澄んだ空気は、事故物件のイメージから来る精神的なハードルを大きく下げるものだろう。
靴を脱いで部屋に上がった左手がご遺体の発見された浴室だ。Kさんと記者は荷物を置くと、まず亡くなった方に手を合わせた。
浴槽内で発見されたのは、亡くなってから2か月が経過したご遺体だったということで、発見当時はやはり臭いがひどかったらしく、2度の清掃が入ったうえに、浴槽を取り除きシャワールームに改装されていた。
さも新築のように綺麗に清掃されたリビングに、持参した段ボールで簡易な机を用意したKさんは、2台のPCをそこに置くと携帯を取りだして電話をかけた。「到着しました。ビデオ通話の接続をお願いします」。
すると画面に現れたのは、依頼人との一風変わったエピソードをまとめたエッセイが好評を博し、自身をモチーフにしたドラマが放送されるなどした、「レンタルなんもしない人」だった。