ローランド・エメリッヒ監督に直撃インタビュー。『ミッドウェイ』で豊川悦司らに感謝

インタビュー

ローランド・エメリッヒ監督に直撃インタビュー。『ミッドウェイ』で豊川悦司らに感謝

「戦闘だけではなく、訓練自体が危険なものだと示したかった」

超大作を多く手掛けてきたローランド・エメリッヒ監督
超大作を多く手掛けてきたローランド・エメリッヒ監督Midway [c]2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

エメリッヒ監督と言えば、メル・ギブソンを主演に迎え、アメリカ独立戦争を描いた『パトリオット』(00)も手掛けているが「すべての戦争に共通している要素は、若者たちが徴兵され、死に直面しなければいけないことだ」という。

「第二次世界大戦の場合だと、アメリカは、自由を守る最後の砦みたいなところがあり、若きアメリカ人の兵士たちは、民主主義を守ったというような意味合いがあったのではないかと僕は思う。いまの時代も、国粋主義が世界中のあちこちで見られるようになっている。だからこそ、いまこの戦いを描くべきだと思った。彼らがいなかったら、世界中がファシズムに脅かされていたかもしれなかったからです」。そう語るエメリッヒ監督が、ドイツ出身である点も感慨深い。

また、本作で印象的だった点は、わかりやすい兵士の“戦死”だけではなく、訓練中に起こる不慮の事故死や、民間人の死など、様々な死のありようが散りばめられている点だが、いずれも事実に基づいたものだと言う。

真珠湾攻撃のシーンからスタート
真珠湾攻撃のシーンからスタートMidway [c]2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

「真珠湾攻撃があったからこそ、アメリカは急遽、第二次世界大戦に参戦することになった。つまり、前もって準備ができていたわけではなく、若い兵士たちを急遽、訓練しなければならない状況に置かれたわけです。当然、彼らには経験値がないから、事故も起こしてしまう。例えば、空母から飛行機の離着陸をさせることが、いかに難しくて危険なことだったのかは、映画を観てもらえば一目瞭然だ。戦闘だけではなく、訓練自体が危険なものだというところを見せたかった」

本作は、日米両軍の人間ドラマを丁寧に描いていく群像劇だが、メインキャラクターとなるのが、『トランスポーター イグニション』(15)のエド・スクレインが演じる、パイロット、ディック・ベスト大尉で、もちろん実在の人物である。

「登場人物がたくさん出てくるので、誰を主軸のキャラクターにするかをみんなで話し合った結果、ディック・ベストに決めたんです。妻と小さな娘がいるというバックグラウンドに加え、パイロットとしての腕は非常に立つけど、向こう見ずなところがあった。でも、戦闘を重ねるなかで責任感を学んでいき、最終的にはみんなを率いるリーダーになっていくという道のりに惹かれたんだ」

ディックは、やがて体調を崩すが「僕は会ったことがないんだけど、自分のおじさんが戦争中、ディックと同じようにパイロットをしていた。おじさんも体を壊し、戦後、亡くなってしまった。個人的には、そこに縁を感じたよ」。

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