松雪泰子、『甘いお酒でうがい』でときめいたシソンヌじろうの脚本「なぜこんなに女性的な感性がわかるのだろう」
「じろうさんは男性なのに、なぜこんなに女性的な感性がわかるのだろう」
そんななかで手にしたのが、『甘いお酒でうがい』の脚本だった。松雪が演じるのは、シソンヌじろうが長年演じてきたコントの代表的キャラクターでもある川嶋佳子。原作は、佳子が自分の部屋で過ごす“くつろぎタイム”や、同僚との交流、ほのかな恋など、日々のつれづれを綴る日記という設定で、じろうが執筆したものだ。自分に自信がなく、引っ込み思案な佳子が、日常のなかで見つけていく人生の輝きに、観る者は心洗われていく。
「じろうさんってすごい!と感動しました。自宅のリビングで脚本を読み始めましたが、言葉の力に引っ張り込まれました。じろうさんは男性なのに、なぜこんなに女性的な感性がわかるのだろうと驚きました」。
確かに佳子のモノローグは、しなやかな感性によって、詩的な言葉の数々が紡がれている。「以前、岩松了さんとご一緒した時も、岩松さんの感性がすごく女性的だと感じました、じろうさんも同じように、女性の感性が細部までわかる作家さんだなと感心しました」。
メガホンをとったのは、『勝手にふるえてろ』(17)の大九明子監督。松雪が、撮影で一番心に突き刺さったのは、独身の佳子が、玄関の黒いシミを子どもの靴と見間違い、ドキリとするシーンだ。本作では佳子の中に眠っている母性がふとした瞬間に露わになるようなシーンがいくつかある。
「撮影していて、40代の女性としてのなんとも言えない感覚みたいなものが、あの瞬間に湧き上がってきました。大九監督も同じようなことをおっしゃっていましたが、40~50代に差し掛かる女性ならではの感覚なんだろうなと。監督も撮影で号泣されていましたが、本当にじろうさんの感性がすばらしいと思いました」。
Next
松雪は、2回り年下の恋人との恋をどう感じたか?
作品情報へ