御年90歳でも健在ぶりを見せつける、“クリント・イーストウッドの軌跡”を35mmフィルムで堪能!
御年90歳にもかかわらず、毎年のように映画を作り続け、その健在ぶりを見せつけてくれているクリント・イーストウッド。監督として、そしていまでは引退してしまったが俳優としてもスクリーンで輝きを放ってきた。そんな彼に関する特集上映「35mmフィルムで見るクリント・イーストウッドの軌跡」が、国立映画アーカイブにて開催されている。
ワーナーブラザースが所蔵する35mmフィルムから、イーストウッドの監督作や主演作を全13本上映するこの特集。そのラインナップから、イーストウッドの外せない重要な作品をピックアップして紹介したい!
アウトローな魅力が詰まったハマり役『ダーティハリー』(71)
60年代から70年代に西部劇をはじめとするアクション作品に多数出演し、同時代を代表するアクション俳優として活躍したイーストウッド。なかでも最もハマり役といえるのが、数々の作品でタッグを組んだドン・シーゲル監督作『ダーティハリー』で演じたハリー・キャラハン刑事だ。
のちにシリーズ化するほどの人気を集めた第1作の内容は、サンフランシスコで連続殺人が発生し、なんとか犯人にたどり着くハリーだったが、人質の居場所を吐かせるための拷問が人権侵害となり犯人は無罪放免。そのことにハリーは怒りを覚え…というもの。
事件解決のためなら暴力も辞さず、組織から逸脱していく快活なアウトローぶりは、西部劇で培われた魅力がムンムン。そこに刑事としての在り方への葛藤を抱える人間臭さが加わり、漢っぷりがたまらない。その後『ダーティハリー4』では自らが監督を務め、シリーズ最大のヒットを飛ばした。
イーストウッド、最後の西部劇『許されざる者』(92)
ブレイクのきっかけとなったテレビシリーズ「ローハイド」(59~65)ほか、『荒野の用心棒』(64)、『夕陽のガンマン』(65)など数々の西部劇で活躍してきたイーストウッドが、監督&主演として最後に手がけた西部劇が『許されざる者』だ。
若造のキッド(ジェームズ・ウールヴェット)からお尋ね者二人を片付ける仕事を持ちかけられた年老いたガンマン、マニー(イーストウッド)。かつての友、ローガン(モーガン・フリーマン)を連れ3人で追跡を開始するが、衰えから離脱したローガンが保安官に目の敵にされ、惨殺されてしまう。これに激怒したマニーは復讐に立ち上がり…。
師と仰ぐセルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げられたこの作品は、イーストウッドのそれまでのキャリアで演じてきた役が詰まったよう。第65回アカデミー賞で作品賞、監督賞など4部門で受賞を果たし、監督としてのひとつの集大成といえる作品になった。
イーストウッドには珍しいラブロマンス『マディソン郡の橋』(95)
男臭い映画ばかりを作り続けてきたイーストウッドが、珍しくラブストーリーを手がけたのが『マディソン郡の橋』だ。92年に発売され大ヒットした小説の権利を持っていたスティーヴン・スピルバーグの製作会社アンブリン・エンターテインメントが映画化した本作は、もともとシドニー・ポラックが監督予定だったが降板。紆余曲折を経て、主演のイーストウッドが監督することになった。
アイオワの片田舎に住む平凡な主婦フランチェスカ(メリル・ストリープ)は、夫と子どもが家を空けている時に、その地にあるローズマン橋の撮影に訪れたカメラマンのキンケイド(イーストウッド)と出会う。すぐさま運命を感じ恋に落ちた二人だが、4日後、再び元の生活に戻ることを選び、二度と出会うことはなかった…という、不倫をテーマにした大人の恋愛模様が綴られていく。
これまでの作風と大きく異なる題材のため、「向いてない」と言われたこともあったというイーストウッドだが、蓋を開けてみれば興行的にも評価的にも大きな成功を収めた。
期間:10月29日(木)〜12月6日(日)※毎週月曜休館日、12月1日(火)は休映
会場:東京国立映画アーカイブ
URL:https://www.nfaj.go.jp
上映作品:
『ダーティハリー 』
『許されざる者』
『マディソン郡の橋』
『目撃』
『真夜中のサバナ』
『トゥルー・クライム』
『スペース カウボーイ』
『ブラッド・ワーク』
『ミスティック・リバー』
『父親たちの星条旗』
『硫黄島からの手紙』
『グラン・トリノ』
『インビクタス/負けざる者たち』