浅香航大、心を揺さぶられた出演作『滑走路』を語る「ここまで骨太な映画はキャリア的にも珍しい」
32歳の若さで命を絶った萩原慎一郎の遺作「歌集 滑走路」をモチーフに脚本家の桑村さやか(『ストロボ・エッジ』『OVER DRIVE』)がオリジナルストーリーを紡ぎ、『ノラ』『キュクロプス』などの俊英・大庭功睦監督が映画化した『滑走路』。いじめ、非正規雇用、過労、キャリア、自死、家族ーー現代人の誰もが抱える不安や葛藤、それでも希望を求めて生きる姿を3つのエピソード=人生でリアルに描いた本作で、厚生労働省の若きエリート官僚・鷹野に扮した浅香航大を直撃!切実ながらも感動的で、ラストに清々しい余韻を残す映画の撮影を振り返ってもらった。
厚生労働省で働く鷹野(浅香)は激務に追われる日々を送っていたが、ある日、NPO団体が持ち込んだ“非正規雇用が原因で自殺したとされる人々のリスト”の中にあった自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、死の真相を探り始める。一方、切り絵作家の翠(水川あさみ)は30代後半に差し掛かり、将来的なキャリアについて思い悩み、子どもを欲する自分と温度差のある美術教師の夫・拓己(水橋研二)との関係に違和感を覚え始めていた。また、中学二年生の学級委員長は、幼馴染の裕翔を助けたばかりに自分がいじめの標的になってしまう。だが、一枚の絵をきっかけにクラスメイトの天野と、ささやかながらかけがいのない交流を始めるようになって…。
原作の短歌から生み落とされた3つの人生が交錯する本作だが、浅香は台本を読んで「シンプルな話ですけど、緻密で大胆なおもしろい構成だなと思って。そこに惹かれました」と語る。その上で「こういう社会的なテーマを扱った映画はそんなに多くはないし、僕自身も葛藤を抱えた役はやったことがあるけれど、ここまで骨太な映画はキャリア的にも珍しいので、声をかけていただいて本当にうれしかった」と笑顔を見せる。