ヘタレの劉備にノリが軽い孔明、ナルシスト趙雲…『新解釈・三國志』キャラクター図鑑!
『今日から俺は!!劇場版』(20)の大ヒットも記録に新しい福田雄一監督が、あの「三國志」を独自の解釈で映画化した『新解釈・三國志』(公開中)。大泉洋にムロツヨシ、小栗旬ら豪華キャストが出演し、劉備に孔明、曹操といった有名な英傑たちを演じる。史実や歴史小説「三国志演義」とは少し、いやかなり異なった描き方がされた登場人物たちを紹介したい。
“乱世の英雄” 劉備(大泉洋)
のちに“蜀”の国を建国し、初代皇帝となる人物。荒れ狂う世相を憂い、義兄弟の盃を交わした関羽、張飛とともに義勇軍を立ち上げる。情に厚く、多くの人々を惹きつける人望の持ち主として知られるが、本作では口を開けば文句や愚痴ばかりをこぼす、戦嫌いの小心者として描かれている。ただ、酔うと気が大きくなり、威勢のいいことを言ってしまうため、その志の高さに大勢が惚れ込んでしまう。
“カリスマ軍師” 孔明(ムロツヨシ)
「三顧の礼」を尽くした劉備への忠義を誓う天才軍師。明晰な判断力と予見力で敵を翻弄し、戦場に神算を描くカリスマ的存在だ。しかし劇中では、なにか勝算があるわけではないのに、周瑜の無理難題を受けてしまう思慮が浅はかな面が目立つ。ノリが軽くその場しのぎの言葉も多いが、類まれな強運の持ち主でもある。
“仁義に生きる豪傑” 関羽(橋本さとし)/“超怪力の猛将” 張飛(高橋努)
巨大な青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)を軽々と振り回し、「美髭公」と呼ばれるほどの見事な髭がトレードマークの関羽。そして、並外れた勇敢さを持ち、短気で豪快な性格の張飛ももちろん登場。二人とも劉備の人柄に惚れ込み彼を“義兄”と慕うが、面倒くさがりで隙があれば逃げようとする劉備を引っ張っては、なんとかやる気を出させようとするなど苦労が絶えない。
“中国四千年の鬼嫁” 黄夫人(橋本環奈)
孔明の妻。利発な女性で、内助の功で彼を支える。歴史書には名前が残っておらず、その存在については様々な逸話が語られている。だが本作では、内助の功で支えるどころか、ダメダメな夫を罵倒する鬼嫁なキャラクターとして登場。しかし、孔明の活躍も彼女の存在あってこそ。
“イケメン武将” 趙雲(岩田剛典)
劉備に仕える忠義の武将。まだ乳飲み子であった劉備の息子、劉禅を抱え、単騎で敵陣を突破するなど、勇猛果敢なエピソードは数多し。ゲームなどでイケメンとして描かれ高い人気を誇るが、本作ではこの部分が強調されている。自他ともに認める“三国一のイケメン”で、そのことをやたらアピールするナルシストな雰囲気に劉備たちも困惑してしまう。
“三國志最強の鬼神” 呂布(城田優)
幼い帝を擁し政権を握った董卓(佐藤二朗)に仕え、天下無双の将軍と恐れられる。一日に千里を走るという名馬、赤兎馬を駆り、他を寄せつけない鬼神のごとき強さを誇る。大勢の兵士を方天画戟(ほうてんがげき)という槍のような武器の一振りで薙ぎ払い、関羽&張飛との戦闘シーンは本作の見どころの一つ。しかし、“頭があまり良くない”という一説をフィーチャーされてしまい…。
“絶世の舞姫” 貂蝉(渡辺直美)
悪政を働く董卓と呂布の仲を裂くために送り込まれた絶世の美女。歌舞にすぐれ、その妖艶さで二人を惑わす。強い意志と覚悟を持った女性ではあるが、趙雲が彼女を連れてきた際はイメージと違ったため、劉備たちも「本当に大丈夫か?」と首をかしげる。実は驚くべき秘密を抱えており…。
“主君を支える最高司令官” 周瑜(賀来賢人)
知略にすぐれた武将で、数々の戦いを指揮し勝利を収めてきた“呉”の国の最高司令官。主君である孫権を献身的に支え、その美しい容姿から“美周郎”の異名を持つ。「三国志演義」では孔明との知恵比べで常に上を行かれる姿が印象的だが、本作ではこの部分がかなり色濃い。感情的ですぐに怒りを爆発させ、視野も狭いなど、知将の風格はどこにもない。
“江東の覇者” 孫権(岡田健史)
父の孫堅、兄である孫策の遺志を継ぎ、“呉”を治める孫権。素直でまじめなキャラクターとして登場するが、それゆえに家臣たちの言葉をなんでも受け入れ、コロコロと意見を変えてしまう。同盟を持ちかけてきた孔明をすぐに信用するなど、周瑜を苛立たせる要因に。
“革命のジョーカー” 曹操(小栗旬)
野心家で黄巾討伐軍に参加して頭角を現したのち、知力、政治力、そして逆らう者には容赦なしの驚異的な統率力をもって大国“魏”の礎を築き上げた。劉備の最大の宿敵というイメージだが、本作では戦の日々にすっかり飽きてしまい、大勢の女官をはべらせている。そんな姿をいとこでもある側近、夏侯惇(阿部進之介)に叱られてしまうなど、少し残念な人物に…。
「桃園の誓い」や「赤壁の戦い」など、三國志の名エピソードが独特のゆる~い雰囲気で展開される『新解釈・三國志』。その中で自由気ままに英傑たちを演じるキャストたちのかけ合いをスクリーンで楽しんでほしい。
文/サンクレイオ翼