即落ち必至!世界に羽ばたくタイBLドラマ、その深すぎる“沼”
新型コロナウイルスの流行により家で過ごすことが多かった2020年。おうち時間を充実させるものとして、動画配信サービスが大きな注目を集め、「梨泰院クラス」や「愛の不時着」などの韓国ドラマが大ヒットを飛ばしたことは記憶に新しい。同じように、特定のファン中心だったコンテンツがより広い層に急拡大していく現象が起きているものの一つが、タイのBL(ボーイズラブ)ドラマだ。2016年ごろから一部ファンの間で密かに注目の的となり、2020年に大きく飛躍したタイBLドラマの世界について紹介していきたい。
世界的ヒットのキッカケは、ファンの自作字幕!?
タイで“Y”と呼ばれているBL。これは“やおい”の頭文字を取ったもの。やおいとは男性同士の恋愛を題材とした漫画や小説の俗称で、日本の同人漫画家たちが自分たちの作品について仲間内で“ヤマもオチもイミもない”と自嘲的に表現したことから生まれたと言われる言葉だ。
この日本のやおいカルチャーが1990年代ごろにタイに輸出されると、タイでも独自のBLコミックや小説が出版されるようになっていく。そして、タイ最大手のエンタメ系コングロマリットGMMTVが、2015年ごろからYシリーズ(タイBLドラマ)の制作をスタート。しだいにドラマ数が増加していき、2019年には年間20本以上の作品が作られるまでになっている。
2020年7月にアジアで2番目に同性カップルの結婚を事実上認める「市民パートナーシップ法案」が承認されるたり、性的指向をLGBTQだけにとどまらず18もの種類に細分化して認識するなど、タイが性的マイノリティに関して比較的認識の進んだ国であるという背景に加え、タイのインターネット事情もヒットの要因に挙げられる。
タイはネット通信料が安く、スマートフォンの普及率も高いため、ネットの平均利用時間が9時間超と世界でもトップクラス。しかも2019年の調査によれば、そのうちの3時間44分が動画視聴に当てられているのだそう。GMMTVのYシリーズは、テレビで放送された直後から、国内ではLINE TVというプラットフォームで配信されたため、そこから若年層を中心に人気を集めていったのだ。
タイ国内の人気は、ネットを通じて世界にもじわじわと広がっていった。テレビ放送後、タイ国内ではLINE TVで配信されていたGMMTVの作品は、それ以外の国ではYouTubeで公式が英語字幕を付けてまるまるアップ。さらにYouTubeの字幕機能を視聴者に開放するという設定で動画を公開したため、非英語圏でも有志たちが字幕をつけることで楽しめるようになり、2020年の「2gether」は、ツイッタートレンド世界1位になるほどのワールドワイドな人気を獲得した。
現実でも、推しカプが尊すぎる…人気を左右する“カップリング”
ここまでの人気となった理由には、物語がシンプルで観やすいという点が挙げられる。タイBLは高校生や大学生たちの恋愛模様を題材にしているものが多く、素直になれずすれ違いを繰り返し…という日本の少女漫画を思わせるような物語が展開していく。テンポよく進むうえ、爽やか&胸キュンな青春テイストとなっているため、ライトな層が入りやすくなっている。
そんな恋模様を体現する演者たちは、スタイル良し、顔良しの美男子ばかり。様々なタイプが粒ぞろいのため、作品をいくつか鑑賞していくうちに自然と推しの俳優ができていく。「2gether」のサラワット役で知られるブライトは、Instagramのフォロワーが625万人(2021年1月5日現在)を誇るなど、その圧倒的な美貌は観る者の心を即座につかんでいる。
そして一番大きな魅力とも言えるのが、現実でも作品の世界観に浸れるという点だ。タイのBLドラマでは、作品はもちろん、それ以上に演者の“カップリング”が絶大なパワーを持っており、あるドラマのカップルがそのまま企業のCMに起用されたこともあるほど。
そのことをわかっている番組側や俳優本人たちも、SNS上にイチャイチャする写真を投稿したり、ファンイベントで仲睦まじい姿を見せたりと、サービス精神旺盛に作品と地続きの姿を見せてくれる。作品が終わっても劇中さながらの姿が楽しめるため、推しカプへの愛はどんどんと加速していき、気づけば抜け出せない沼にハマっているのだ。
「SOTUS/ソータス」「2gether」…観ておきたい注目作はコレ!
ここまでタイBLドラマならではの世界を説明してきたが、その魅力に触れるには作品を観るのが一番。ということで、いくつか作品を紹介していきたい。
まずは、ブームの元祖的存在「SOTUS/ソータス」から。この作品は大学の工学部を舞台に、新入生を厳しく教育する先輩とその指導にに反抗する新入生の関係が描かれ、衝突し変わっていくふたりの関係性など、先輩と後輩という設定を生かした恋模様が楽しめる。なお、この作品はKADOKAWAによって漫画化され、今春から電子版CIELにて連載されることも決まっている。
「SOTUS/ソータス」が元祖なら、爆発的なヒットによってタイBLを世界的人気へと押し上げた立役者が「2gether」だ。大学を舞台に、同級生からの猛アタックを回避するため、学校イチのモテ男にニセ彼氏になってもらったことから始まる恋が描かれる。ブライト演じるクールなサラワットが見せる優しい態度や言葉の数々に、恋人のフリとわかっていながらも翻弄されていくタイン。屈指の人気カップルが繰り広げる美しい恋愛模様は必見だ。
また、この「2gehter」からはスピンオフ作品「Still 2gether」も誕生しており、前作から1年後を舞台に、タインとサラワットに訪れる最大の危機が描かれていく。もちろんキャスト陣はそのまま引き継がれているのでご安心を。
このほかにも「SOTUS/ソータス」の監督による待望の新作で、母親を亡くしたことから笑顔を失った大学生と、貧しくも明るく生きる大学生との癒し系な恋が綴られる「Oxygen」や、初めて会った3年前の日から友人に片思いする主人公と、そんな気持ちに気づかずにガールフレンドを作っては別れるを繰り返すプレイボーイとのせつない恋を題材とした泣けるBLドラマ「Theory of Love/セオリー・オブ・ラブ」など、今後も多くの作品が日本に入ってくる予定。
この記事を参考に、ぜひあなただけの推しを見つけて、タイBLドラマの深すぎる“沼”を覗いてみてほしい!
文/サンクレイオ翼
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