時代を築いたスターから、ファンを虜にした名匠も…2020年に去った映画人を偲ぶ
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中が未曾有の事態に直面。各国で映画館や劇場、ライブ会場が閉鎖され、エンタテインメントの在り様が大きく変容を遂げた2020年。今年はまた、多くの映画関係者がこの世を去った年でもあった。
本稿では、故人への哀悼の意を表しながら、<俳優・声優>と<映画監督・スタッフ>に分けて、簡潔ではあるが、今年逝去された映画人たちの功績を振り返っていきたい。
俳優・声優
宍戸錠 (俳優・86歳・1月18日)
“エースのジョー”として愛された、1960年代の日活映画を代表するスター。後年はテレビドラマ、バラエティ番組にも数多く出演し、お茶の間でも親しまれた。最後の出演映画は2012年に公開された『ファイナル・ジャッジメント』となった。
カーク・ダグラス(俳優・103歳・2月5日)
スタンリー・キューブリック監督の『スパルタカス』(60)など数多の名作に出演したハリウッドのレジェンド。2003年には息子のマイケル・ダグラス、孫のキャメロン・ダグラス、元妻のダイアナ・ダグラスと共演した『グロムバーグ家の人々』が公開された。
マックス・フォン・シドー(俳優・90歳・3月8日)
イングマール・ベルイマン監督の作品で注目を浴び、『エクソシスト』(73)のメリン神父役がもっとも有名な北欧スターの先駆。晩年も精力的に活動し、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)や「ゲーム・オブ・スローンズ」といった話題作にも出演した。
宮城まり子(俳優・93歳・3月21日)
歌手を経て、日本初のカラー長編アニメ映画『白蛇伝』(58)での白娘役、そして大映映画の傑作『黒い十人の女』(61)などで女優として活躍。芸能活動引退後は福祉事業家として活動した。
志村けん(コメディアン・70歳・3月29日)
ザ・ドリフターズのメンバーとして活躍した、日本を代表するコメディアン。1970年代にはザ・ドリフターズの映画シリーズに出演し、高倉健から直々のオファーを受けて『鉄道員』(99)で本格的に俳優に挑戦。出演を辞退した『キネマの神様』(2021年4月16日公開予定)は、それ以来の映画出演にして初主演作となるはずだった。
藤原啓治(声優・55歳・4月12日)
人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の野原ひろし役を24年務めたほか、「アベンジャーズ」シリーズのトニー・スターク/アイアンマン役などロバート・ダウニー・Jr.の吹替え声優などを務めるなど、数多くの作品で忘れがたい演技を見せた。2016年に病気療養で休養し、翌年に活動を再開していた。
岡江久美子(俳優・63歳・4月23日)
2014年まで放送されていた情報番組「はなまるマーケット」をはじめ、数多くのテレビドラマに出演。映画出演は『猫の恩返し』(02)や『アオハライド』(14)など。生前出演していた『車線変更-キューポラを見上げて-』が2021年に公開予定。
イルファーン・カーン(俳優・53歳・4月29日)
1980年代から地元インドの映画に多数出演し、『その名にちなんで』(06)以降国際的に活躍。『アメイジング・スパイダーマン』(12)や『ジュラシック・ワールド』(14)などに出演した。
イアン・ホルム(俳優・88歳・6月19日)
リドリー・スコット監督の『エイリアン』(79)や、アカデミー賞受賞作『炎のランナー』(81)などで注目を集めた。2001年からは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでビルボ・バギンス役を演じていた。
三浦春馬(俳優・30歳・7月18日)
子役時代から活躍し、17歳の頃に『恋空』(07)などで注目を集め人気俳優の仲間入り。俳優業だけでなく、その美声を生かして歌手としても活躍。『天外者』(公開中)をはじめ、2021年公開予定の『ブレイブ 群青戦記』など、今後も出演作の公開が控えていた。
オリヴィア・デ・ハヴィランド(俳優・104歳・7月26日)
不朽の名作『風と共に去りぬ』(39)のメラニー役で知られ、同作の主要キャストで唯一の存命者だったハリウッドの伝説。1916年に東京で生まれ、『遥かなる我が子』(46)と『女相続人』(49)でアカデミー賞主演女優賞を獲得した。
渡哲也(俳優・78歳・8月10日)
日活のスター候補としてデビュー後、石原プロモーションに入社。石原裕次郎の死後は2代目社長として石原プロの発展に尽力。「西部警察」シリーズや『仁義の墓場』(75)など、数多くのドラマ・映画で活躍した。
チャドウィック・ボーズマン(俳優・43歳・8月28日)
2003年に俳優デビューし、マーベル作品『ブラック・パンサー』(18)で主演を務め一躍世界的スターの仲間入り。同作の出演前から闘病生活を続けており、『マ・レイニーのブラックボトム』(Netflixで配信中)が遺作に。奇しくも亡くなった日は、『42〜世界を変えた男〜』(16)で演じたジャッキー・ロビンソンの功績を称える“ジャッキー・ロビンソン・デー”だった。
芦名星(俳優・36歳・9月14日)
ファッションモデルを経て女優へ転身。国際共同製作作品『シルク』(07)でヒロインに抜擢され、その後は映画からドラマまで幅広く活動。2017年からは人気ドラマシリーズ「相棒」にレギュラー出演していた。
竹内結子(俳優・40歳・9月27日)
『リング』(98)でのスクリーンデビューを皮切りに、『いま、会いにゆきます』(04)や「ストロベリーナイト」など、多くの作品でその凛とした魅力を振りまき、代表作を挙げれば枚挙にいとまがない。人気ドラマの劇場版『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が最後の出演作となった。
ショーン・コネリー(俳優・90歳・10月31日)
「007」シリーズの初代ジェームズ・ボンド役で知られる名優。『アンタッチャブル』(87)でアカデミー賞助演男優賞を受賞し、2006年に俳優業の引退を発表。「インディ・ジョーンズ」や「007」などの新作への出演オファーもあったが、復帰には至らなかった。
ダリア・ニコロディ(俳優・70歳・11月26日)
イタリアを代表するホラー監督ダリオ・アルジェントの元妻として知られ、同監督の『サスペリアPART2』(76)や『インフェルノ』(80)などに出演。娘は女優で映画監督などもこなすアーシア・アルジェント。