アメリカの政治映画はなぜおもしろい?「役職」でアメリカ選挙活動を紐解く映画・ドラマ21選
選挙活動を支える役職、「スピーチライター」や「顧問弁護士」にフォーカスした作品
現職国務長官(シャーリーズ・セロン)が大統領選に打って出る際に、幼なじみのフリーライター(セス・ローゲン)をスピーチライターとして雇うラブコメ『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』(19)は、政治家が民衆の心を掴むために発する演説を陰で支えるスピーチライターの仕事がクローズアップされる。「ハウス・オブ・カード」でも、大統領夫妻のスピーチライターを務める男性が重要な秘密を知り…という展開があるが、実際このようなピンチに出番となるのが、顧問弁護士の存在。
元ニューヨーク市長で、自らも共和党から大統領候補として出馬経験のあるルドルフ・ジュリアーニ氏が、トランプ大統領の個人顧問弁護士を務めている。トランプ大統領は現在も選挙結果を認めず不正選挙の訴訟を起こしており、まさにご多忙なジュリアーニ氏なのだが、大統領選投票2週間前の10月23日よりAmazon Prime Videoで配信された『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』(20)にも目玉ゲストとして出演している。イギリスのコメディアン、サーシャ・バロン・コーエンがカザフスタンのジャーナリストに扮する『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(06)の続編で、ジュリアーニ氏はボラットの娘トゥーターが仕掛けるPrank(ドッキリ)にまんまとひっかかってしまうのだ。14年前の前作は、映画と知らずにドッキリを仕掛けられた一般人たちがボラット(と映画会社)を相手取り多数の訴訟が起こされたことでも知られているが、“訴訟のプロ”ジュリアーニ氏はこの恥辱にどう対応するのだろうか?
挙げればキリがないほど出てくる、アメリカの政治映画。とんでもなくキャラ立ちした政治家が多く、選挙戦のラリー(大規模集会)でもロックコンサートのような派手な仕掛けの中で熱弁をふるう。アダム・マッケイやウィル・フェレルも参加していたテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」では、政治は常に最も笑いの取れるネタだ。重厚なドラマにしてもコメディにしても、これらの映画を観ると実際の政治や選挙戦の見方が変わってくる。これらの作品群に触れると、4年後の2024年の大統領選をさらに楽しめることだろう。