アメリカ村に海遊館、HEP FIVE、なんばパークスも…『ジョゼと虎と魚たち』で大阪を“街ブラ”気分
赤く染まった“桜紅葉”が壮観な毛馬桜ノ宮公園
清原もおすすめする物語の中盤に登場する桜並木の公園は、大川沿いにある毛馬桜之宮公園をイメージしたもの。桜の名所として人気のスポットだが、本作ではあえて秋の風景が描かれている。とはいえ、約4800本の桜の木が一気に赤く染まる“桜紅葉”は壮観で、その色づかいはもちろん、やさしい木漏れ日や舞い落ちる木の葉、大川のせせらぎまで丁寧に描いたアニメーションは見事。桜並木を歩きながら、ジョゼが将来の夢を告白しており、夢に向かってまっすぐな恒夫の存在が彼女を前向きにしていることが伝わってくる。
細かなディテールまで再現された大阪の街並み
全編を通して、リアルに描かれた大阪の街が登場する本作。その緻密さに中川は、「HEP FIVEの観覧車とか、よく見たことのある景色ですよね。建物や看板の細かなディテールまで再現されているので、実物と見比べてみるのもおもしろいと思います。自分たちの住んでいる街や近所の風景が、アニメになって登場するのってすごく感動することなんじゃないかな」と感服しきり。
一方の清原も、「アニメーションで作られた大阪の街をご覧いただき、『ジョゼたちが暮らすこの空間に入ってみたい』と思っていただけるといいですね。梅田や茶屋町のお店の雰囲気とか、『ここ行ったことあるな』や『あの場所かな?』と感じる場面もたくさんあるので、観ていて楽しかったです」と驚きを隠せない様子だ。
このほかにも、道頓堀や御堂筋、“玉串川の桜”で有名な玉串川沿いなど、大阪やその近辺に暮らす人たちにとってのおなじみスポットをいくつも確認できる。また、上記の愛染坂や毛馬桜ノ宮公園のような何度も描かれる場所もあり、季節ごとの風景も楽しむことができる。旅行が制限されているいま、『ジョゼと虎と魚たち』を観て、ジョゼや恒夫たちと一緒に大阪巡りをした気分になってはいかがだろうか?
文/平尾嘉浩