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イ・ビョンホン主演の実録サスペンスも!必ず押さえておきたい韓国現代史映画をおさらい

コラム

イ・ビョンホン主演の実録サスペンスも!必ず押さえておきたい韓国現代史映画をおさらい

1人の学生の死が民主化運動に発展する『1987、ある闘いの真実』

韓国民主化闘争の実話を描く『1987、ある闘いの真実』
韓国民主化闘争の実話を描く『1987、ある闘いの真実』[c]2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED

1987年には、韓国が軍政から民主主義国家へ生まれ変わる過程におけるエポックメーキングな出来事が勃発した。1人の学生運動家が警察の拷問によって命を奪われたことをきっかけに巻き起こった民衆の怒りが、6月民主抗争と呼ばれる歴史的な民主化運動へと発展。その激烈な社会のうねりを、検事、警察の所長、学生、新聞記者といった多様なキャラクターの視点とともに壮大なスケールで描き上げた『1987、ある闘いの真実』(17)は、多くの日本人観客にも熱いカタルシスをもたらした。


南北分断―歴史の闇から掘り起こされた“知られざる秘話”

そして、今なお続く朝鮮半島の南北分断の現実が、幾度となく映画化されてきたことは周知の通り。ここでは歴史の闇から掘り起こされた“知られざる秘話”の2作品に触れたい。『シルミドSILMIDO』(03)は、1968年の北朝鮮特殊部隊による青瓦台(韓国大統領府)襲撃未遂事件の報復として結成された秘密工作部隊にスポットをあてた一作。金日成暗殺を目的として孤島に集められた死刑囚31人の壮絶な運命をたどっていく。1990年代を背景にした『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(18)は、北朝鮮の核開発の実態を探るために北への潜入作戦を敢行したスパイの物語。この2作品は共に命がけのミッションに身を投じた末端の工作員が、時の政権の対北政策の変化によって翻弄され、見捨てられていった残酷な人間模様が克明に描き込まれている。

ファン・ジョンミンが北へ潜入する工作員を演じた『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』
ファン・ジョンミンが北へ潜入する工作員を演じた『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』[c] 2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

もちろん『KCIA 南山の部長たち』も含め、ここで紹介した作品はあくまで“史実に基づくフィクション”だが、いずれも独自の切り口で歴史の真実を射抜こうとする作り手たちの気迫がみなぎっており、ハイレベルな技巧と創造性に裏打ちされたエンタテインメント性も十分。韓国現代史映画がもたらす破格の興奮と感動を、ぜひとも体感してほしい。

文/高橋諭治

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