【今週の☆☆☆】富士の樹海が舞台の『樹海村』、土屋太鳳主演『哀愁しんでれら』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、『犬鳴村』に続く「恐怖の村」シリーズ第2弾、怒涛の不幸に見舞われた女性が幸せな結婚をした“その先”を描くサスペンス、二世スター共演の予測不能なスリラーからなる、ゾクゾクする3本!
現実世界と地続きのリアルな恐怖&凝った仕掛けで見ごたえたっぷり…『樹海村』(公開中)
自殺の名所として知られる富士の裾野の青木ヶ原樹海。迷路のような森のどこかに謎の集落・樹海村が存在した…。ネットを震撼させた都市伝説をベースにした清水崇監督の衝撃作。霊感の強い杏奈は、姉の親友の家で不穏な箱を発見。それは樹海の奥にあるという樹海村で生まれた呪いの箱“コトリコバコ”だった。現実世界と地続きのリアルな恐怖に、被差別集落や忌まわしい因習など伝承的な要素をプラス。神経を逆なでする恐怖が味わえるが、それだけで終わらせないのが清水演出の妙。樹海が影のように忍び寄るなど様式的な映像や、時空を超えて強い念が共鳴していく展開などダークファンタジーを思わせる凝った仕掛けの数々が、エンタテインメントとしても見ごたえある作品に仕立てている。(映画ライター・神武団四郎)
私たちの悩ましい心象を鮮やかに炙り出す…『哀愁しんでれら』(2月5日公開)
怪しげなタイトルと不気味なポスタービジュアル故にキワモノ映画と思われがちな本作だが、いやいや、これがまた観る者の予想を気持ちよく裏切る痛快サスペンスだった。本作は新鋭の渡部亮平が、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILMで2016年のグランプリに輝いた自らのオリジナル脚本を映画化した商業映画デビュー作。王子様のような開業医のシングルファーザー・大悟(田中圭)と出会い、幸せな結婚生活を送ることになったヒロインの小春(土屋太鳳)はその後どうなったのか?『3月のライオン』前・後編(17/大友啓史監督)などで脚本家としての才能をすでに開花させていた渡部が放つその“逆シンデレラ・ストーリー”は、狙いすましたようにスピーディで圧倒的!しかも、小春が不幸の階段落ちのようになる怒涛の導入部の無駄のない演出や編集、『パラサイト 半地下の家族』(19)を想起させるスタイリッシュなのに不穏な世界観の構築など、監督としての確かな手腕も感じる驚きの仕上がりになっている。もちろん、他の作品では観ることのできない人間の複雑な本質や異なる価値観を体現した土屋と田中の芝居にも目が釘づけになるが、それ以上に子どもの怖さを全身、全力で爆発させる子役COCOには誰もが震撼するに違いない。ややデフォルメされた物語や設定の中で、私たちの悩ましい心象を鮮やかに炙り出したダークファンタジーともいえる必見作だ。(映画ライター・イソガイマサト)
孤独な現代人の心を激しくかき乱す怪作!…『ダニエル』(2月5日公開)
子ども時代の“空想上の友だち”が甦り、大人になったあなたの人格を侵食する!そんな設定に基づく本作は、意外性満点のスリラー。内気な大学生の前に幼少期に封印した“空想上の友だち”が現われ、彼の生活を劇的に変えていくが、それは恐怖の始まりに過ぎなかった。主人公の心の闇と狂気に肉迫するのは、この手のホラーの定石だが、本作はそれにとどまらない。邪悪な“何か”の存在を浮き彫りにしつつ、物語は衝撃のクライマックスへ。イケメンだが陰のあるロビンス&シュワルツェネッガーの若き2世俳優の共演は、ビジュアル的にも鮮烈な印象をあたえずにおかない。孤独を抱えた現代人の心を激しくかき乱す怪作!(映画ライター・有馬楽)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼