土屋太鳳、“制服卒業”から大人の女優への道「いまでも緊張。必死にもがいている」
「制服姿の役はやれるだけやろう!」「変わらないモットーは“役を生きる”」
2005年、女優発掘オーディション「ミス・フェニックス」で審査員特別賞を受賞したことをきっかけに、この世界に入った土屋。『orange -オレンジ-』(15)や『青空エール』(16)、『PとJK』(17)など数々の青春映画の制服姿で溌剌とした魅力を振りまいた彼女だが、『春待つ僕ら』(18)の公開記念舞台挨拶で“制服卒業”を宣言した。
土屋は「制服姿の役は、『いつかはできなくなるだろうな。やれるだけやろう!』と思ってやっていました。『20代に入ったから制服はもう着ません』というのももったいないなと思うんです。求めていただける間、精一杯やれてよかったと思っています」と充実感をにじませる。
難病を抱えた女性を演じた『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(17)、芳根京子とW主演を務めてドロドロバトルを繰り広げた『累 -かさね-』など、チャレンジングな作品にも立ち向かってきた。今回は子連れの男性と結婚する女性を演じるなど、年齢を重ねるごとに演じる役の幅を広げているが、デビュー時からの変化を聞いてみると「楽しさよりも、難しさを感じることのほうが増えてきています」と打ち明ける。
「昔は『このシーンのために、1か月かけて考える』ということもありました。でもありがたいことに、大事なシーンの多い役を任せていただけることが増えてくると、なかなかそうやって時間をかけることができなくて…。その役の感情にたどり着くために、日々ずっといろいろと考えながら過ごしているようなところもあって、時間が足りないなと思うことが多い。自分のなかの瞬発力を鍛えたいと思っています」とその熱量の高さゆえに課題も生まれているそう。
土屋は「もっと気軽にできたり、『全然、緊張しないですよー!』とリラックスして臨めたらいいんですが、こればかりは変えられなくて」と苦笑い。「やっぱりいまでも緊張してしまうし、不安もあるし、毎回、必死。もがいています」と葛藤しながらも、ブレずに胸に刻んでいるモットーは「役を生きる」ことだと力強く語る。
「役をしっかりと生きて、観てくださる方に、自分がなにかを伝えることができたらとてもうれしいです。自粛期間にも、いろいろなことを考えました。自分が“表現できる”という立場にいるならば、30代に向けて、社会に対してできることを一つずつ積み重ねていきたいなと思っています」と未来を見つめ、「あと、30代までにアクションをやりたいですね。体力があるうちに、思いきりアクションをやってみたい!」と大きな笑顔。彼女のまぶしいほどの真っ直ぐさが、すべての作品に注ぎ込まれている。
取材・文/成田おり枝